清高の ニュースの感想 令和版

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社説でね デマを流した 読売が

読売新聞が、2020年5月22日の社説でデマ(

デマとは - コトバンク

)を流したという話。

 

当該社説は「検事長辞職へ 検察は体制を早急に立て直せ」である。

www.yomiuri.co.jp

上記社説によると、

検察トップとしてのリーダーシップを発揮せず、人事の混乱を許した稲田伸夫・検事総長の責任も重い。

だとか

今後も、政治から距離を保ち、検察人事の自律性を保つためには、検察自らがしっかりと自浄作用を働かせるべきだ

だとか書いてある。

 

しかし、実際は(と言っても筆者未確認だが)、読売新聞2020年2月21日号に安倍晋三内閣総理大臣と、菅義偉内閣官房長官が、黒川弘務・東京高検検事長を次期検事総長に推していたのだそうだ。以下の記事を参照。

bunshun.jp

(2020年5月12日。1ページ目)

lite-ra.com

(2020年5月12日10時8分。3ページ目)

 

つまり、筆者が引用した2020年5月22日社説の部分は、虚偽である。

 

さらに追い打ちをかけるように読売新聞の記事を取り上げる。

www.yomiuri.co.jp

(2020年5月23日7時20分。紙面では統合版1面、13版2面)

 

「菅さんが『やった方がいい』と言っている。仕方がない」

 今月中旬、検察庁法改正案への著名人らの抗議ツイートが急速に拡散する中、安倍首相は菅官房長官の名前を挙げ、周囲にぼやいた

先述2月11日朝刊の解説と少し違うが、安倍総理大臣も反対していなかったことから矛盾はないと認定する。

法務省で官房長、次官を務めた黒川氏を高く評価していたのが、菅氏や警察庁出身の杉田和博官房副長官、北村滋国家安全保障局長(前内閣情報官)だ。首相官邸は黒川氏の定年(2月7日)の前に稲田伸夫・検事総長が辞任し、黒川氏が後任に就くシナリオを描いていた。だが、稲田氏が辞任を拒んだため、官邸は法解釈変更で異例の定年延長に踏み切り、泥沼にはまっていく。この間、首相が指導力を発揮することはなかった

は、今日の読売新聞の先述の引用とは矛盾しない。ただ、不思議だとは思ったが。

林、黒川両氏のどちらかが検事総長に就くのは確実視されていた。官邸幹部は「名古屋転出により、検事総長レースは黒川氏で『勝負あった』だった」と振り返るが、法務・検察当局の思いは違った。

 (略)

 昨年末、稲田氏の了承を受けて法務・検察が官邸に上げた幹部人事案は、2月に定年を迎える黒川氏を退職させ、東京高検検事長の後任に林氏を据えるというものだった。林氏の検事総長就任含みは歴然だった。官邸がこれを退けると、逆に法務省幹部は稲田氏に2月で退任し、黒川氏に検事総長の座を譲るように打診した。

 稲田氏は拒み、4月に京都市で開催予定だった第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス=新型コロナウイルス対策で延期)を「花道」にしたいとの意向が官邸側に伝えられた。検事総長は約2年での交代が慣例で、今年7月で2年となる稲田氏にとって、前倒しの退任は「不完全燃焼」(法務省関係者)との思いがあったようだ。

こういうのを普通は「官邸の介入」という。もちろん検事総長の任命権は内閣にあるが(検察庁法第15条第1項)、稲田伸夫・検事総長を降ろす大した理由もなければ(記事の限りでは、全くなかった)稲田さんが拒むのもわかる。

稲田氏が退任しないと、2月が定年の黒川氏は後任に就けない。検察庁法には定年延長の規定はなく、法務省は「苦肉の策」として、国家公務員法の規定に基づいて黒川氏の定年を半年延長する案を首相に示した

とあるから、やっぱり今回の無理筋である黒川弘務・東京高検検事長(63歳が定年。検察庁法第22条)の国家公務員法第81条の3・第1項による定年延長は官邸主導と見てよい。

 

というわけで結論は、読売新聞2020年5月22日社説は間違いで、稲田伸夫・検事総長には何ら責任がない一方で、内閣の責任は重大なのだから、安倍晋三内閣の総辞職、少なくとも菅義偉内閣官房長官の辞職を求めるのが(読売新聞の社論としても)論理的かつ妥当である。