清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

ニッポンの 国連嫌い どこからか?

読売新聞2020年10月24日統合版13版8面「国連好感度 日本で急落」という記事が目に留まったので(インターネット上で読める。①はインターネット上からの引用。

www.yomiuri.co.jp

)、②CNN.co.jp「国連に対する評価、最も低かったのは日本 14カ国世論調査」(日本時間2020年9月22日16時45分。

www.cnn.co.jp

)も併せて取り上げる(読売新聞の記事は事実である、ということ)。

 

読売新聞に載っていた「国連に対する好感度の推移」のグラフは、Per Recerch Center"2. United Nations and World Health Organization receive positive ratings across most countries"(以下、③)から見られる。

https://www.pewresearch.org/global/2020/09/21/united-nations-and-world-health-organization-receive-positive-ratings-across-most-countries/

 

”Favorable views of the UN stable in most countries"のところを見ると、2012年まではアメリカとほぼ同じ比率だったが、なぜか2013年から日本の評価が下がっている。安倍政権と関係があるのだろうか?もしかして慰安婦問題が関係している?筆者の乏しい知識と想像力ではそれくらいしか思い浮かばない。

 

それでは①を見てみよう。

 

好感度が急落した要因は二つ考えられる。

 一つ目は、新型コロナウイルスを巡る国連の対応が後手に回ったとの認識だ。とくに国連の専門機関である世界保健機関(WHO)は、中国での感染が拡大していた時期に「パンデミック感染症の大流行)ではない」との見解を繰り返しており、その後の世界的な流行を招いたとの指摘もある。

 二つ目は、国連改革の遅れだ。(略)(①)

 

まず「一つ目」(①)は、そうとは言えない。③にある”World Health Organization’s handling of COVID-19 gets positice marks in most countries polled"から一目瞭然である。日本と韓国だけ著しく数値が悪いからである。

 

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

 で触れた「BS世界のドキュメンタリー さまよえるWHO-米中対立激化の裏側」も見ている筆者としては、WHOの新型コロナウイルスの対応はどこでも悪いと思う人が多いと思っていたが、実際は全然違った。これに関しては②の以下の分析が正しそうだと思ったので引用する。

上智大学の植木安弘教授はこの結果について、米国のトランプ大統領やポンペオ国務長官による国連や世界保健機関(WHO)に対する攻撃が、日本人の世論形成に影響したと思われると分析する。

植木教授によると、米国による攻撃の主な動機は、11月の大統領選挙を控えた米国内の政治的理由から、対応に失敗した責任を中国やWHOに転嫁することにあったが、多くの日本人はそれを言葉通りに受け止めた可能性がある。日本人は他国に比べると、トランプ大統領の発言をそれほど批判的に見ていないと植木教授は解説する。(②)

 

以下は筆者の記憶だが、日本でもアメリカでも、中国からの感染はそれほどでもなかったが、欧州経由(現時点では中国以外の由来を知らない)の感染がその後の感染者増を生んだと聞いている。先述のBS世界のドキュメンタリーは、ドナルド・トランプ大統領はがいち早く中国からの入国を禁止したことを高く評価していたが、実際は欧州経由を止められなかったのが日米共通なので、それを知っていれば、WHOの中国びいきが仮にあったとして、それほどのことではないと評価出来そうである。*2020年10月27日追記。ただ、韓国を説明できるかは、筆者の力ではわからない。

 

①に戻って、「国連改革の遅れ」も、2013年からの急激な下落を説明できないと思う。重ねて書くが、2013年以降に何があったかということになろう。

 

続けて①の以下の部分について。

 実績を積み上げた日本は、常任理事国入りにも意欲を示してきた。だが、中国や韓国の反対もあり、見通しは立っていない。(①)

 これはよくわからなかったが、とりあえずウィキペディア国際連合安全保障理事会」(

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E5%AE%89%E5%85%A8%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%90%86%E4%BA%8B%E4%BC%9A

)の「常任理事国改革」がわかりやすい。それによると、「反対している国は、表向きは4か国すべての常任理事国入りに反対しているものの、実際には全ての国ではなく隣国・近国の常任理事国入りに反対している」とのこと。ただ、ウィキペディア国際連合安全保障理事会」の注釈9にあった、④asahi.comアーカイブス「対日関係全面見直し決議、韓国国会が採択」

https://web.archive.org/web/20020223100014/http://www.asahi.com/international/jk/010718a.html によると、

韓国国会は18日、日本の歴史教科書問題に関連し、98年に故小渕恵三首相と金大中大統領が発表した「日韓共同宣言」の破棄を含め、対日関係全般の見直しを韓国政府に促すことなどを盛り込んだ決議を満場一致で採択した。与野党とも日本政府が教科書の再修正に応じるまで強硬姿勢をとるべきだと主張しており、(略)/(略)国会決議は、対日関係の全般的な見直しのほか、「自らの侵略事実を隠ぺい、わい曲し、歴史的な責任にそっぽを向く日本は国際社会の指導的国家の資格がない」として、国連安保理常任理事国入りの阻止を韓国政府として積極的に検討するよう要求している。(④)

とある。単に近隣諸国の常任理事国入りがイヤというだけの話も、昨今における日本の、いわゆる歴史修正主義には注意を払ったほうがよさそうだ。なお、いわゆる歴史修正主義の主張が間違いだ、という趣旨ではない。

 

さらに①を検討する。

 ■中国の存在感
 一方で近年、存在感を急速に高めているのが中国だ。国連の15専門機関のうち、四つで中国出身者がトップを占める。(①)

 

これについては、⑤日本経済新聞電子版「中国、国際機関で存在感 4機関でトップ 米警戒強く」(2020年7月8日19時) 

www.nikkei.com

が詳しい。⑤によると、4機関は

 ・国際電気通信連合(ITU

 ・国連食糧農業機関(FAO)

 ・国際民間航空機関(ICAO)

 ・国連工業開発機関(UNIDO)

である。そのうち、ICAOは「 2015年に柳芳事務局長が就任」(⑤)とある。ちなみに

国際電気通信連合 - Wikipedia によると、現在の事務局長は2015年1月1日に就任、

国際連合食糧農業機関 - Wikipediaによると、現在の事務局長の任期は2019年8月から、

UNIDOの概要 | 国際連合工業開発機関(UNIDO) によると、「2013年6月28日、李勇(リー・ヨン)がUNIDO事務局長に就任しました」とある(FAOのみトップがいつ中国人になったか未調査)。

 

筆者は、正直、これらの人事を知らなかった。筆者が標準というのはおこがましいが、読者もよく知らなかったのではないかと推察する。従ってこの件も2013年からの国連好感度の急激な低下を説明できないと思われる。

 

というわけで、日本の、とりわけ2013年からの急激な国連好感度の低下を、筆者は現時点で説明できない。もしかしたら日本人の国連に対する認識、ならびに他国世論の形成についての推察が必要なのかもしれない。