たまたまネットサーフィンをしていたら、ライターの羽田真代(はだまよ)さんの「『韓国大好き』な日本人に“異変アリ”…! 日本全国にめちゃ広がる『韓流ブーム』の危ない結末」(2022年10月8日。現代ビジネス)
が目についた。ひどい記事であった。以下において、引用しつつ、どこがひどいかを検討する(以下、断らないかぎり、「『韓国大好き』な日本人に“異変アリ”…! 日本全国にめちゃ広がる『韓流ブーム』の危ない結末」からの引用)。
筆者などは、米や麦にトウモロコシやタピオカなどを混ぜて工場で大量生産する韓国の焼酎よりも、杜氏たちが丹精込めて造る日本の焼酎のほうが奥深い味わいがあって美味しいと思うのだが、若者はそうではないようだ。
日本の若者たちは酒を味わうというよりも、韓国焼酎というツールを通して、韓国という雰囲気に“酔う”ことを楽しんでいるのかもしれない。
居酒屋や露店でチープに酒を飲み交わす韓国ドラマのワンシーンに憧れる日本の若者は少なくないという。(2ページ目)
羽田真代さんの好みはわかったから。別にどっちでもいいじゃん、ということ。なお、検討している羽田真代さんの記事より有益なのは、たのしいお酒jp「韓国焼酎(ソジュ)とは?日本の焼酎との違いや種類についてご紹介」(2022年10月7日)
である。「韓国でも米を主原料にマッコリを造り、これを蒸溜して焼酎に仕上げていた時代がありましたが、戦争の影響で米が不足した際は、穀類を使った伝統的な焼酎の製造が禁止されたといいます。/苦肉の策として、ジャガイモやサツマイモ、タピオカなど多彩な原料を用いるようになったものの、そこから新しい製法が生まれて定着。現在の韓国焼酎が誕生しました」の部分を素直に受け取って楽しめばよい。なお、筆者は現在は体調を考慮して禁酒しているので、お酒の味について責任は取れない。
(前略)鍋に入ったラーメンをそのまま食べたり、カップラーメンの蓋を折りたたんで器にして食べる独特な文化も日本の若者の好奇心に引っかかるようだ。
筆者より上の世代は行儀が悪いとも思ってしまうわけだが、若者は映画やドラマに出てくる韓国人のような食べ方が“カッコいい”と思うわけだ。いつの時代もブームのウラにはそんなカルチャーへの憧れがあるのは当然だろう。(2ページ目)
これはただの世代間ギャップでしょうな。
ここで日本での話に戻ると、韓国スーパーやコンビニは人気だが、近年は台湾食もブームになっている。(4ページ目)
「そんならそんでええやないか*1」。今まで韓国の話をずっとしていたのに、BTSのメンバーが台湾グルメを食べているという文脈でもないのに、どうしたのだろう。
台湾は韓国と違って「親日」な国だ。
もちろんテーマによっては意見が食い違わない点もあるが、国民同士が歴史問題でいがみ合うことは基本的にないし、政府同士も良好関係を築いている。
一方で、最近では中国の“台湾威嚇”が激しくなっている中で、日本では“台湾応援”の声も高まり、さらに台湾ブームを盛り上げていくことも考えられる。
仮にこのまま日本国民の関心が韓国よりも台湾のほうへと傾いていけば、いまの韓国ブームも再び去って行くかもしれない。
韓国・韓流ブームをメディアがたくさん報じてブームが盛り上がったように、今度は台湾の俳優やアイドルを連日報道するようになるかもしれないし、そうなれば日本の若者の関心も一気に台湾へと向かうかもしれない。(5ページ目)
結局羽田さんの言いたいことはこの部分なのだが、羽田さんの台湾の出し方は台湾にも失礼だろう。「『親日』」だろうが「反日」*2だろうが、いいものを受け入れるという単純な話だからである。
つまり、著者の願望である、「台湾の俳優やアイドルを連日報道するようになるかもしれないし、そうなれば日本の若者の関心も一気に台湾へと向かうかもしれない」ということは起こりうるが、それなら韓国のことは一切書かずに、台湾の俳優やアイドルの話でもしてもらった方が、読者も動画やYouTubeを探すといった、ポジティブな対応をするのだけれど。