自由民主党議員が、性的少数者について、あり得ない議論をしているという話。
①産経新聞デジタル「自民・西田氏『差別禁止は分断生む』LGBT法案」(2023年2月7日13時)
によると、
自民党の西田昌司政調会長代理は7日、性的少数者(LGBT)への理解増進を図る法案に関し「差別の禁止や法的な措置を強化すると、一見よさそうに見えても人権侵害など逆の問題が出てくる。社会が分断されないような形で党内議論をしていきたい」と述べた。党本部で記者団に語った
という。
え、現時点で、性的少数者の人権が侵害されている*1んですが、何か? ①には「『訴訟の乱発を招きかねない』」ともあるけど、それは差別をしなければいいだけだ、としか言えない。
それに関連して、松岡宗嗣の2023年2月9日8時12分のツイートを。
LGBT理解増進法案の「差別は許されない」という言葉にすら反対している西田昌司議員のYouTube。もはや陰謀論のレベルで唖然。「LGBT問題は秩序を潰そうとする左翼政党の先鋒」「LGBTもふたおや(両親)がいる。次の子が生まれない。秩序を押さえ、わきまえた議論を」→https://t.co/e7sYJOvayk pic.twitter.com/NzDRg0KQdw
— 松岡宗嗣 (@ssimtok) 2023年2月8日
そのツイートで紹介されている西田昌司チャンネル(YouTube)「LGBT更迭騒動の背景が分かった!運動団体と密接な毎日新聞のオフレコ破り!マッチポンプに踊らされるな!(西田昌司ビデオレター 令和5年2月8日)」のリンクも貼る。
松岡が言う「『左翼政党の先鋒』」は2分13秒あたり、「『LGBTもふたおや(両親)がいる(略)』」については9分14秒あたりから見ればわかるが、本当に言っている。
これは『男同士の絆 イギリス文学とホモソーシャルな欲望』(イヴ・K・セジウィック、名古屋大学出版会、2001)を未読なので暫定版とするが、筆者が2023年1月2日22時からNHK・Eテレで放送された「100分de名著スペシャル 100分deフェミニズム」によると、イギリスにおいて、貴族社会では性的に自由だったが(同性愛もあり)、産業革命後に家父長制になり、生殖中心の性愛、すなわち、異性愛が重視されるようになったのだという。また、岩波書店の2023年2月8日14時のツイート*2によると、
「中世から江戸の時代にいたるまで、日本の歴史には多様な性が息づいていました」
「抑圧されたのは明治以降…「産めよ増やせよ」が国から求められていきます」
とのこと。西田のこだわる伝統は虚偽で、以前の性は自由だったと筆者は推測する。
②産経新聞デジタル「高市氏、LGBT法制定に慎重論」(2023年2月9日18時37分)
によると、
高市氏*3によると、厳格な差別解消ルールを作れば、企業は性的少数者の雇用に及び腰になるとの観点から「自分たちは採用されにくくなる」との不安を口にしていたという
とある。
そういうことは全くないとは言わないが、ほぼない。もちろん企業には、限界はあるものの採用の自由がある。しかし、性的指向が「職業上の能力・技能や従業員としての適格性」*4に該当することは、筆者の限りでは想像しにくい。従って、②で引用した高市発言については、仮に当事者が言ったとしても、おそらく杞憂と思われる*5。
筆者が読む限り、西田であれ高市であれ、あり得ないことを想像して、何としてもLBGTに対する差別禁止を防ぎたいという意図があって発言している風にしか見えない。そういうのを防ぐために差別を禁止しないといけないと思った次第である。