岸田文雄・内閣総理大臣が、不適当な言葉を使ったゆえに苦境に陥っているであろう話。
岸田文雄内閣の支持率が低い*1ことは皆さんご存じだろうが、その一因は、「還元」だと思う。
以下、読売新聞紙面から。
所得税などの4万円の減税に世論の理解が広がっていないのも悩みの種だ。
首相は(11月)20日の衆院本会議で「国民から見れば、新型コロナウイルス禍の際に納めた税金が戻ってくるという意味で還元そのものだ」と述べ、「税収の還元策」として幻影を打ち出した意義を改めて説明した。*2
財務省HP「税収に関する資料」
の「一般会計税収の推移」を見ると、所得税は、たしかに令和2年*3から令和4年にかけて増収になっている。
しかし、それは所得があったのだから当たり前で、それで還元してしまうと、「ビルトイン・スタビライザー」*4が働くなってしまう。
また、財務省HPのpdfファイル「一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移」*5
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/003.pdf
を見れば一目瞭然で、一般会計税収<一般会計歳出、である。この状況で「還元」すべきとも思えない。
岸田内閣の「還元」策に根拠はなく、「所得税などの4万円の減税に世論の理解が広がっていない」*6とすれば、日本在住者はきちんと学んでいるということになりそうである。
日本在住者を馬鹿にしないで、きちんとした財政政策を実行してほしいものだ。
*1:以下において引用する読売新聞の世論調査によると、2023年11月17日から19日に行われた全国世論調査の内閣支持率は24%で「内閣発足以降最低」だという。読売新聞オンライン「岸田内閣支持率は発足以来最低の24%、経済対策「評価しない」も66%…読売世論調査」
*2:読売新聞2023年11月21日統合版13版4面「首相『三重苦』の予算委」より。オンラインでは「読者会員」「読者会員(家族)」限定。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20231120-OYT1T50288/
https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87-2434089 参照。日本の場合、令和元年度から2年度がコロナ禍と思われる。なお、財務省HPの表記に従って、元号表記とした。
*4:『高等学校政治・経済』(第一学習社、2013)pp.129-130。「自動安全装置」ともいう。
*5:2023年11月24日アクセス。
*6:*2に同じ。