4月14日の読売新聞朝刊、ならびに読売新聞のサイト(http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070414ur04.htm)
によると、高校3年生の学力低下に歯止めがかかったかのような結果が出たという。
この高校3年生、実は「ゆとり教育」をどっぷり受けた(「ゆとり教育」を掲げた新学習指導要領の下で実施された初の調査)世代。以前より学力低下に歯止めがかかったのは不思議のように思う。しかし、学力と授業時間の間に相関関係はない(4月7日のよみうりテレビ「ウェークアップ ぷらす」によると、OECDの学力調査で上位のフィンランドは、日本より授業時間が短いそうだ。それだけでなく、相関関係がないとする論者はいる)ので、このような結果が出ても不思議ではない。読売新聞は「ゆとり教育」を認めたくないので、「「ゆとり教育による学力低下はなかった」とは言い切れない」といっているが、そんなことを言う必要はないのである。
それにしても、学力(ならびに、教育)を論じる段になると、結構滑稽である。そもそも、学力がないとどのような不利益があるのかが明らかでない、どのようなことが生じているかが明らかではない(上位がいないのか、下位が多いのか。日本は後者だが、それなら履修より修得を重視しなければならないと思うが、なぜそのような議論がないのだろう)、先生の負担は重視しない(先生が週休2日ではダメか?)、など、有益な議論が行われているとは言いがたい。教育を論じる者は、もう少し冷静にならなければいけないのではないだろうか。