清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

この事件 死刑でないの 仕方ない

東京都江東区のマンションで女性が殺されて、バラバラにされた事件があったが、その事件の被告人の裁判の判決が昨日あり、被告人に無期懲役の判決が言い渡された。以下、毎日.jp「東京・江東の女性殺害:判決(要旨)」(http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090219ddm012040154000c.html
に基づいて、検討したい。なお、あらかじめ書いておくと、私は、遺族の方には申し訳ないが、この判決は、妥当だと考えている。

「死刑は人間存在の根源である生命そのものを永遠に奪い去る冷厳な極刑であり、誠にやむを得ない場合における究極の刑罰であることにかんがみると、適用は慎重に行われなければならない」→最近の報道やブログレヴェルでは、この程度のことも頭に入れていないものが多い。憂えるべきことである。

最高裁83(昭和58年。清高注)年7月8日判決参照)→私のブログ「この事件 死刑になるか わからない 」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/46626797.html
で言及した、永山基準のこと。

「罪刑均衡の観点からは殺害された被害者が多数に上る事案とは状況を異にするというべきであるから殺害された被害者が1人の事案において死刑を選択するためには他の量刑要素において相当強度の悪質性が認められることが必要となる」→これも問題ないと思う。やはり、複数人殺すことと同等の悪質性とは認められまい。

「犯行の動機は、住居侵入、わいせつ略取については女性を「性奴隷」にしようというゆがんだ性的欲望のため、殺人、死体損壊、死体遺棄についてはわいせつ略取等の発覚を恐れたため」→最初から殺すつもりはなかったと認定されたということである。謀殺ではなく、故殺。刑罰に軽重がつくのは仕方あるまい。

「残虐かつ冷酷である上、死体損壊、死体遺棄については、死体を細かく切断して投棄したという戦りつすら覚えるものであって、死者の名誉や人格、遺族の心情を踏みにじる極めて卑劣なものである」→言葉だけとも取れるが、それなりに考慮したと信じたい。

「第一に、本件殺人の態様は、執拗なものではなく、冷酷ではあるが残虐極まりないとまではいえない」→殺してからも執拗に殺人行為をした、というより、殺してから、死体を損壊したと認定したのだろう。

「死刑選択の当否という場面においては、死体損壊、死体遺棄の態様の悪質性を殺害態様の悪質性に比べて過大に評価することはできない」→微妙だが(殺害行為の延長ととれるのか、死体損壊なのか)、疑わしきは被告人の利益にという格言に忠実である。

「被告(人。清高注。被告人の表現については、以下断らない)は、拉致した後も2時間以上にわたり、当初意図していた強姦はもとより、わいせつ行為にすら至らなかった」→当初の意図が既遂にならなかったことも被告人に有利に働いたか。

「殺人、死体損壊、死体遺棄には計画性は認められず、殺害行為が偶発的であったとは言い難いとしても、計画性の有無により非難の程度に差異があるのは当然である」→前にも書いたが、「謀殺ではなく、故殺。刑罰に軽重がつくのは仕方あるまい」。

「被告は、逮捕された後は、警察官の言葉に心を動かされ、罪悪感を募らせて、各犯行の詳細を自供し、その後も一貫して事実を認め、公判廷でも自己の行った犯罪に向き合い、各犯行の詳細を述べる」→このような事実認定ならば、やはり死刑はまずいだろう(誰も自白しなくなるリスクがある。自白の強要はいけないが、自白にインセンティブを与えるのが悪いとは言えないと考える)。

「被害者に対して冥福を祈るなど自らの罪を悔い、謝罪の態度を示している」→パフォーマンスでないことを祈るしかない。あと、自殺は期待すべきでない。

「被告は、前科前歴がなく」→更生可能性は考慮するだろうな。

もちろん、検察側は控訴して争うことが予想されるが、事実誤認(刑事訴訟法第382条)がなければ、おそらく覆らないだろうな。

なお、この判決、当初の予定より遅くなったが、最近の死刑を求める世論からすれば、担当裁判官は必死に死刑にする理由を探したと思いたい。