清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

先例と 比較するのは 当たり前

上記朝日新聞デジタル(2012年7月23日21時58分)によると、「最高裁司法研修所は23日、「裁判員裁判における量刑評議の在り方について」と題した研究報告を明らかにした」という。

このことについて、読者の参考のために、ウェブ版で見られる各紙の記事は、以下のとおり。

YOMIURI ONLINE「死刑判決の割合、戦後混乱期並みに…最高裁調査」(2012年7月23日19時24分。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120723-OYT1T01090.htm )

毎日.jp「裁判員裁判:死刑は被害者数を重視、司法研修所が報告」(2012年07月23日 22時37分(最終更新 07月23日 22時56分)。http://mainichi.jp/select/news/20120724k0000m040105000c.html )

日本経済新聞電子版「裁判員裁判、量刑柔軟に 司法研報告書、死刑判断「先例尊重」 」(2012/7/23 21:42。http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2303J_T20C12A7CR8000/ )

MSN産経ニュース「被害者数「判断」に大きく影響 量刑評議で報告書」(2012.7.23 22:04 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120723/trl12072322050003-n1.htm )

いくら制度が変わったといっても、先例尊重は当たり前のこと。もちろん、人の生命に関して価値が変わることもあろうが、変わってしまうと平等(憲法第14条参照)でないとも言える。

更に紙で補足しておくと、読売新聞東京本社版2012年7月24日朝刊13版15面には「過度の厳罰化を懸念」とある。

「過度の厳罰化を懸念」には(も)、「被害者数ごとの死刑と無期懲役の割合」が書かれている。私は井上薫さんの『裁判資料 死刑の理由』(作品社、1999。新潮文庫版もある)や、森炎さんの『量刑相場』(幻冬舎新書、2011)を読んでいるので、被害者1人の殺人で、無期懲役と死刑の割合が、無期懲役62%(30件)なのに対し死刑が38%(18%)なのは、特に驚かない。前科があれば、更生可能性がないと見るのは自然なので、被害者1人で死刑はいいのだが、殺害方法が残虐な場合(いわゆる永山基準コトバンクより。http://kotobank.jp/word/%E6%B0%B8%E5%B1%B1%E5%9F%BA%E6%BA%96 ))の被害者1人が死刑でいいかは疑問である。殺意があれば、なんだって残虐なのではないだろうか。

更に進めて、読売新聞には、全国犯罪被害者の会あすの会http://www.navs.jp/ )の顧問の岡村勲弁護士のコメントがある。岡村先生によると、「『被害者数を重視してきた裁判官の判断の踏襲を促す内容で、市民参加の意味が薄れかねない。死刑廃止の動向を詳しく記述しているのも、裁判員に死刑の抑制を求めているようで不適切だ』」という。平等については既に指摘したが(さらに書くと、殺人(刑法第199条)、強盗致死(同240条)、ともに、懲役がある。懲役であれば、建前上は仮釈放があるので、処遇を柔軟にできる(反省の度合いが見られる))、死刑廃止の動向の記述も悪くない。客観的な情勢を知ることが悪いわけではないので。