清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

気にいらない 展覧会は 犯罪で 止めてしまおう これが日本だ

あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由・その後」に動きが。

 

まずは毎日新聞デジタル「表現の不自由展中止、津田監督を厳重注意処分 判断などで「背信とのそしり免れない」 愛知知事」(*1)をご覧いただこう。

 

*1によると、

芸術祭実行委員会会長を務める大村秀章・愛知県知事は25日、出展の最高責任者である芸術監督でジャーナリストの津田大介氏を厳重注意処分した

だとか、

県の検証委員会は中間報告をまとめ、津田氏の判断や行動などについて「背信とのそしりを免れない行為」「ジャーナリストとしての個人的野心を芸術監督としての責務より優先させた可能性」などの項目別に批判。「あいちトリエンナーレの期待水準に達しない、『芸術の名を借りた政治プロパガンダ』と批判される展示を認めてしまった」などと厳しい言葉で断罪した

だとか書いてある。

 

毎日新聞デジタルの記事を真実と仮定して(中間報告未読ゆえ)以下論じると、これは津田大介・芸術監督に対する誹謗中傷にすぎない。そもそも中止の原因はそういうことではなく、犯罪と、電話等の対応の不備のはずだからである。また、公が「期待水準」を決めることの危険性もある。

 

次は産経新聞デジタル「あいちトリエンナーレへの補助金不交付へ 文化庁「申請手続きに不備」」(*2)によると、

愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で、文化庁は26日、補助金を交付しない方針を固めた。愛知県が文化庁に対し、安全面に対する懸念などを事前に申告しないなど、交付申請に不備があったと判断した

という。

 

この理屈もおかしい。仮に事前申告した場合と、今回の場合仮に事前申告しなかったとして、それで結論を異にする理由がないからである。展覧会自体に「安全面に対する懸念」などない。展示物を展示するだけだからである。あるとすれば、抗議や脅迫。抗議への対応の不備はあるようだが、脅迫は犯罪で、この理屈だと、脅迫をしちゃえば展覧会を潰せる可能性がかなり高い。仮に今回の展覧会に対する脅迫事件がなかった場合に補助金を不支給とする理由もないし(「安全面に対する懸念」が存在しないから)。

 

最後に、朝日新聞デジタル「萩生田氏「展示、申請通りでない」 補助金不交付を表明」(*3)をご覧いただこう。

萩生田光一文部科学相は26日、「申請のあった内容通りの展示会が実現できていない」として、外局の文化庁が採択を決めていた補助金約7800万円全額を交付しない方針を表明した(略)/

「実現可能な内容であるか、継続性があるかの2点で疑念をもち、これまで慎重な審査をしてきた。残念ながら申請のあった内容通りの展示会が実現できておらず、補助金適正化法などを根拠に交付を見送った」と説明した。慰安婦を表現した少女像などの作品展示について、批判や抗議が殺到して展示継続が難しくなる可能性を把握していながら、文化庁に報告がなかったことも問題視。「愛知県側では4月の段階で、会場が混乱するのではと警察当局と相談していたらしいが、文化庁にはその内容が来ていなかった。少なくとも各方面に相談した段階で申請先の文化庁にも相談すべきだったのではないか」と述べた。

 

これもおかしいのは言うまでもない。「批判や抗議が殺到」=「展示継続が難しくなる」ではないからである。また、この図式がなくなるなら、圧力をかければ展覧会中止や補助金不支給に追い込めてしまう。

 

今回の事件の本質は、展示内容ではなく、犯罪と電話対応の問題である。それについてきちんと対応すればいいだけで、芸術監督に八つ当たりしたり、補助金を支給しないという話ではない。

 

*1 2018年9月25日19時26分(最終更新 9月25日 22時28分)。https://mainichi.jp/articles/20190925/k00/00m/040/219000c

*2 2019年9月26日10時15分。https://www.sankei.com/life/news/190926/lif1909260016-n1.html

*3 松本紗知、上田真由美 2019年9月26日14時53分。https://www.asahi.com/articles/ASM9V4DB4M9VUCVL013.html