毎日新聞「韓国次期大統領『日本の謝罪を必ず引き出す』 面会の元慰安婦に」(2022年3月18日6時45分(最終更新 3月18日 12時54分))
によると、
旧日本軍の元従軍慰安婦の一人である韓国人の李容洙(イ・ヨンス)さん(93)が17日、ソウルで記者会見した。昨年9月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領と会った際、尹氏が「日本の謝罪を必ず引き出すと言ってくれた」と述べ、問題解決への尹氏の努力を期待した
という。
次期大統領の対応は、人間であればだれでも採るもので、これを理解できないのはおそらく一部日本人だけであろう。意に沿わず性行為を強制*1された人に何か言われたら「『謝罪を必ず引き出す』」(毎日新聞の記事より)くらい言うだろう。
そもそも文在寅大統領であれ尹錫悦次期大統領であれ、法律家なのだから、人の権利に関して敏感であり、当然日本に対して謝罪を求めるし、それを否定的に評価するのも難しい。
ところで、これでは、右とされる尹錫悦さんであれ、左とされる文在寅さんであれ、違いがないように見えるのは筆者だけか。
筆者が『アメリカ侵略全史: 第2次大戦後の米軍・CIAによる軍事介入・政治工作・テロ・暗殺』(ウィリアム・ブルム、作品社、2018)を読んで考えたのだが、大韓民国(韓国)の右(保守と言われる)と左(革新と言われる)は、右は独裁政権の流れを汲み、左は民主化の流れを汲んでいるというのがわかりやすいと勝手に思っている。
『アメリカ侵略全史(略)』を読んでもらえばわかるが、アメリカは、反共産主義であれば、独裁者やテロリストとも組むものであり、韓国もその例外ではなかった。また、朝鮮人民共和国建国も実現しなかった。それらを考慮すると、右が独裁政権の流れ、左が民主化の流れ、というのはハズレていないはずである。
もちろん独裁=悪、民主主義=善は原則も、そう単純ではない。文在寅政権では南北融和が図られたとされるが、左からすれば当然も、筆者が韓国人であれば躊躇するところでもある。『ドイツ統一』(アンドレアス・レダー、岩波新書、2020)を読んでもらえればわかるはずだが、経済的に苦しい国を吸収するのにはコストがかかるのであり、韓国からすれば朝鮮民主主義人民共和国を仮に吸収するとして、そのコストに耐えられるかがわからないのである。
というわけで、日本でウォッチしている限りでは、韓国には複雑なところがあるということである。
*1:いちいち文献は上げないが、筆者が理解する通説。