清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

ソ連邦 彷彿させる 検定だ

 2022年度、2023年度に使う教科書の検定が行われたが、気になることが。

 

 読売新聞2022年3月30日統合版12版15面に、「地理歴史・公民で検定意見が付いた記述の修正例」に、慰安婦、強制連行、領土についての修正例が挙げられている。慰安婦や領土については(それも一理だな)と思ったが、強制連行の記述は問題である。以下、検討する。

 

 強制連行*1

 朝鮮の日本への連行は、1939年募集形式で始まり、1942年からは官斡旋による強制連行が開始された。1944年には国民徴用令が改正交付され、労働力不足を補うために強制連行の実施が拡大され、その数は全体で約80万人に達した。

                   ↓

 政府の統一的な見解に基づいた記述がなされていない

                   ↓(修正後の記述)

 朝鮮人の日本への動員は、1939年募集形式ではじまり、1942年からは官斡旋によりおこなわれた。1944年には国民徴用令が改正交付され、労働力不足を補うため動員の対象が拡大され、その数は全体で約80万人に達した。

 

 筆者が、外村大(とのむらまさる)『朝鮮人強制連行』(岩波新書、2012)、ならびに『朝鮮史』(武田幸雄・編、山川出版社、2000。なお、筆者の読書順)を読んだ限りでは、修正前の記述で問題ない。しかし、「政府の統一的な見解に基づい」ていないからといって記述を改めなければならないとすると、学問の自由がないも同然ではないか。

 

 現在の日本政府は、研究者はルイセンコ*2たれ!というのだろうか?ソビエト社会主義共和国連邦を彷彿させる出来事である。

*1:実際は表になっているが、筆者が文章と矢印で示した。

*2:『奇妙な論理Ⅱ-なぜニセ科学に惹かれるのか』(マーティン・ガードナー、市場泰男・訳、ハヤカワ文庫NF、2003)pp.92-120をご一読。