この記事で言いたいことは、以下のツイートに尽きる。「戦い続ける人民」ザオラルさん(@OneMoreChance99)さんが2023年7月10日13時4分にしたツイート。
「国際機関の存在意義を失わせかねない」って、お前ら日本政府が国連の様々な勧告をどれぐらい無視してきたか覚えてるのか。なに言ってんだバカ。https://t.co/tnwnTfhc9J
— 「戦い続ける人民」ザオラルさん🚩🌈 (@OneMoreChance99) 2023年7月10日
上記ツイートの元になった記事は、TBS NEWS DIGの記事である。「松野官房長官『国際機関の存在意義を失わせかねない』IAEA報告書の公平性への中国や韓国などからの疑義に強く反論」(2023年7月10日12時2分)
なお、YouTubeチャンネルは、下記のリンクから。
以下、本記事においては、TBS NEWS DIGのテキストから引用する。
(前後略)
IAEAの報告書をめぐっては、日本が分担金を多く支払っていることなどを理由に、その公平性に疑念を呈する声が中国や韓国などからあがっています。松野官房長官は、日本の分担金は中国よりも少ないことなどを紹介し、次のように反論しました。
松野博一官房長官
「今般の包括報告書の中立性に疑問があるとの主張は全く当たらないばかりでなく、国際機関の存在意義そのものを失わせかねないものと考えます」
しかし、実際には、日本こそが、「『国際機関の存在意義そのものを失わせかねない』」ことを何度もやっているというのが真実である。
この件については、藤田早苗『武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別』(集英社新書、2022)に詳しいので、ぜひご一読願いたいが、筆者が個人的に関心を持っている、朝鮮学校や慰安婦についてもそうなので、それについてのリンクを貼っておく。
朝鮮学校について:ともに47NEWS
「コロナ下で朝鮮学校の排除拡大、国連の是正勧告に従わない日本政府 マスク支給でも格差、『非人道的』批判受けたさいたま市は撤回 在日朝鮮人差別問題・前編」(2022年8月29日)
「『官民一体』の在日朝鮮人バッシング、安倍元首相銃撃でも飛び交ったヘイト 各種学校口実の排除、幼保無償化からコロナ対策支援にも拡大 在日朝鮮人差別問題・後編」(2022年8月30日)
慰安婦(2015年日韓合意):当ブログ「国連機関の勧告 何で無視するの?」
kiyotaka-since1974.hatenablog.com
ところで、日本が「『国際機関の存在意義そのものを失わせかねない』」ことをやっていることがまだあった。東京新聞「こちら特報部 身体拘束『なぜ心が痛むの?』『地域で見守る?あんた、できんの?』精神科病院協会・山崎学会長に直撃したら…」(2023年7月7日16時)
によると、
国連障害者権利委員会は昨秋、日本の精神科医療での強制入院を問題視し、根拠法の全廃を勧告した。
「余計なお世話だよ」
勧告は重くないのか。
「重くないね全然。国連がそんなに権威のある機関だと思ってないもん」
とある。
精神科病院協会の会長だから日本(政府)と同一視できないが、障害者の権利に関する条約を批准*1しておきながら障害者権利委員会の勧告(障害者の権利に関する条約第39条)をないがしろにするのでは、同様のそしりを免れない。ヤングケアラーだったドン・マッツが、直撃した記者を「貴族階級のクズ」(下記リンクを参照)と罵っても何にもならないのである*2。
「地域で精神障がい者の面倒を見る」という理想は結構だが、本邦では既に「地域」が溶解している。そんなことは、社会学で20年以上前から盛んに言われていた”常識”です。
— ドン マッツ (@DonMatz1959) 2023年7月9日
「地域で面倒を見るべき」は、現状の日本においては、
「家族が面倒見るべき」と等値です。…
*1:2014年。外務省HP「人権外交 障害者の権利に関する条約(略称、英語略)」(2023年2月7日。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html
)を参照。
*2:筆者も、ドン・マッツの言う「恵まれた環境で生きてきた」人間なので、ドン・マッツの非難は甘受するも、東京新聞の「こちら特報部(略)」にある見解も同様に重視するものである。