清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

真の保守 実は立憲 民主党?

2020年10月9日の読売新聞統合版13版4面「『大阪都構想』に賛成決議」という見出しの記事を読んだところ、実は立憲民主党が正統派の保守である可能性があるという話。

 

「『大阪都構想』に賛成決議」という見出しの記事には、「一方、立憲(略)の各党は、『都構想が可決されれば、次期衆院選で維新が波に乗ってしまう』(立民中堅)」と書いてあるが、そんなことより注目すべきは「大阪都構想に対する各党の姿勢」という表である。以下、引用する(表ではなく、文章で)。

 

賛成 日本維新の会/「広域の仕事は腑に一元化し、身近な仕事は人口規模を凝縮した区が担うことで、住民のニーズを吸い上げられる」(6日、松井代表)

(略)

中立 (略)

*政府*/「地域の判断に委ねられるべきだ。議論を期待したい」(2日、加藤官房長官)

反対 (略)

立憲民主党/「歴史と伝統がある大阪市を守ったほうが良い」(9月21日、枝野代表)

(以下略)(「大阪都構想に対する各党の姿勢」)

 

根拠薄弱な日本維新の会の見解や、自由民主党政権の無責任さは脇に置いておくとして、立憲民主党の枝野代表のコメントこそが真の保守的な見解である。

 

筆者の手元には『地方自治のしくみがわかる本』(村林守、岩波ジュニア新書、2016)があるが、その第9章には「市町村はもとをたどれば江戸時代のむら」(p158)であり、「都道府県のもとは江戸時代の藩」(p162)とある。だから、真の保守であれば、大阪都構想だけでも立憲民主党を支持するはずである。

 

立憲民主党の期待はあまり高くないとされるが、昨今はびこっている自称保守の草の根保守(またの名、ネット右翼)よりはまともな保守であることを、大阪都構想の議論で示した立憲民主党であった。それが他の論点に波及するかはわからないが。

大統領が 執行するわけ ないだろう

以下の内容は他紙未確認だが、読売新聞2020年10月9日の番組欄にある、BS-TBS「報道1930」の見出しがひどかった。

文政権の「資産現金化」は? 

 番組は観ていないが、おそらく日本製鉄(旧新日鉄住金)が敗訴した民事訴訟の執行だろう。

 

韓国の民事執行法は知らない。ただ「韓国民事執行法」で検索したところ、福島大学 行政政策学類 法学系 准教授早稲田大学 比較法研究所 特別研究員である金 炳学(キム ビョンハク)さん(reserch mapの以下のアドレス参照。

https://researchmap.jp/read0121959 )が執筆した「韓国民事執行法邦語試訳」(

http://www.lib.fukushima-u.ac.jp/repo/repository/fukuro/R000004973/2-509.pdf

)が見つかった。それによると、

第2条(執行実施者)
民事執行は、この法律に特別の規定のない限り、執行官が行う。

とのこと。

 

日本だって、裁判の執行を、時の内閣総理大臣がやるわけないでしょ、ということ。

 

見出しをつくる前に、韓国の方、最低でも憲法を調べていれば、こういう見出しにはならなかった。裁判の執行は裁判所(司法)の仕事なのだから大統領がするわけないだろ、と判断でき、間抜けな見出しにはならなかった。

 

*ウェブサイトは2020年10月9日アクセス。

保守の人の 批判潰しが 笑えるね

まずは、朝日新聞デジタル「首相、学術会議6人任命せず 会議側推薦の会員候補」(2020年10月2日5時。以下①)を見ていただこう。

www.asahi.com

 

①によると、

 菅義偉首相は1日、政府から独立して政策提言をする「日本学術会議」の新会員について、会議が推薦した候補者105人のうち6人を除外して任命した。国内の学者を代表し「学者の国会」とよばれる同会議が推薦した候補者を首相が任命しなかったのは、2004年度の法改正で会議が推薦する方式になって以降初めて

 とのこと。

 

今までやっていたことを突如やらなくなり、それについて説明不十分であれば、非難するのは当然だと筆者は思うのだが、そう取らないのがいわゆる保守(読者・視聴者が保守、または自由民主党支持と思っていると筆者が思っている人のこと。なお、保守と革新又はリベラルにつき、谷岡一郎『データはウソをつく(略)』(ちくまプリマ―新書、2007)p53、ならびに『新聞の正しい読み方(略)』(松林薫、NTT出版、2016)p84参照)のようで、例えば、②Buzzfeed「「学術会議で6年働けば、学士院で死ぬまで年金250万円」は誤り。フジテレビで放送、ネットで拡散」(籏智広太(はたちこうた)。2020年10月7日最終更新)

www.buzzfeed.com

によると、フジテレビ上席解説委員の平井文夫さんが「『学術会議で6年働くと、日本学士院で年金250万円を死ぬまでもらえる』」と「バイキングMORE」で言ったが、それは虚偽なのだという。

 

このようにいわゆる保守は、事実か否かにかかわらず、政権批判を潰そうと躍起になっているようである。以下に取り上げる③読売新聞2020年10月5日社説「学術会議人事 混乱回避へ丁寧な説明が要る」

www.yomiuri.co.jp

もそうだし、以下に筆者はそれに基づいて私見を述べる。なお読売新聞の菅義偉政権非難潰しキャンペーンは継続しているので、③の検討に後に取り上げる。

 

学術研究に関わる組織を政争の場にしてはならない。問題の所在をきちんと整理すべきだ(③)

 

簡単ですよ、問題の所在。①の見出しにある「学術会議6人任命せず」がなぜかということ。それ以外のことはない。ただし③については以下にも触れる。

 

学術会議は、推薦通りに任命するよう政府に求めている。野党は「学問の自由を脅かす重大な事態だ」として追及する方針だ。

 6人は自由な学問や研究の機会を奪われたわけではなく、野党の指摘は的外れだろう。(③)

実際の裁判でどう判断されるかはわからないが、野党の指摘が「的外れ」(③)というわけでもない。例えば、この理屈だと、大学の人事への干渉(芦部信喜憲法』(岩波書店)の索引から「大学の自治」を探して調べられたし)も何ら問題がなくなってしまう。大学に所属していなくても「自由な学問や研究の機会を奪われたわけではな」(③)いとなってしまうからである(在野研究者なんていくらでもいる。『在野研究ビギナーズ(略)』(荒木優太・編著、明石書店、2019))。つまり、人事への干渉は学問の自由に侵害になり得るのである。

 

 学術会議のあり方も問われている。(③)

 って、6人を任命しないことと何ら関係ないよね(6人を任命した上であり方を問うてもいいから)。

 

このように、読売新聞は、菅義偉政権非難を潰そうとしているのか、社説で関係ない論点をちらつかせているのである。

 

それのみならず、読売新聞のキャンペーンは、2020年10月8日、同9日の統合版にも見て取れる。10月8日の紙面であれば、13版3面の「スキャナー 任命拒否『適法』強調」だったり、12版8面の「気流」「推薦も拒否も 説明必要」(「拒否された候補者の自由な学問、研究を奪うものではない」と理由も書かずに書いてあるが、そうではないことは既述)。特にひどいのは④「【独自】学術会議を行革対象に…政府への勧告10年なく、組織・運営の見直し検討」(紙面は統合版13版1面)

www.yomiuri.co.jp

である。

 

④によると、

 政府が、日本学術会議行政改革の対象とし、運営や組織について見直しの検討に着手したことがわかった。年間約10億円の国費で運営されているにもかかわらず、法律に基づく政府への勧告が2010年8月以来、行われていないことなどから、河野行政・規制改革相の下、妥当性を検証する。

 日本学術会議法5条は、「科学の振興及び技術の発達に関する方策」「科学を行政に反映させる方策」などに関し、政府に勧告することができると規定している。しかし、勧告は10年8月、科学技術基本法の見直しなどについて行われたのが最後となっている。

 学術会議法4条と日本学術会議会則2条に基づく政府の諮問に対する答申も、07年5月の災害対策に関するもの以来、諮問がないため行われていない。同会則に基づく提言は過去3年間で、「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」など80件以上出されている。

とのことだが、ひどい内容である。以下、理由を記す。

 

まず、「法律に基づく政府への勧告が2010年8月以来、行われていない」(④)とのことだが、日本学術会議法第5条は「日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる」のであって、する義務はない。

 

次に、「政府の諮問に対する答申も、07年5月の災害対策に関するもの以来、諮問がないため行われていない」(④)のは、政府の問題であって、日本学術会議の問題ではない。日本学術会議法第4条は「政府は、左の事項について、日本学術会議に諮問することができる」のであって、しない政府の問題だからである。

 

最後に「同会則に基づく提言は過去3年間で、「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」など80件以上出されている」(④)のであれば、日本学術会議はきちんと仕事をしているとしか言えない。なお、④の「同会則」とは、日本学術会議会則第2条(意見の表出)「学術会議は、日本学術会議法(以下「法」という。)第四条に定める諮問に対する答申及び法第五条に定める勧告のほか、法第三条第一号の職務として、次に掲げる意思の表出をすることとし、その表出主体及び定義は別表のとおりとする。」のうち、「三 提言」のことである。

 

政府が問題としているからそれに乗ってさも問題あるかのような見出しはミスリードを誘うものであり読者に対して不誠実である。新聞の本来の仕事(分析)をしてほしいものだが、主筆フィクサー気取りのところでは無理かなぁ。

 

 

 

米中じゃなく 宗主国と植民地

2020年10月1日0時からNHK-BS1で放送された「BS世界のドキュメンタリー さまよえるWHO-米中対立激化の裏側」(Hikari・Arte G.E.I.E,2020年。

www.nhk.jp

。以下「番組」とも表記)が興味深かったので紹介する。なお、2020年10月9日17時から再放送されるので、ある種ネタバレ。もっとも、2020年10月7日23時45分から再放送された「所さん!大変ですよ 最新家電で年収1000万円!?の謎」(

https://www.nhk.jp/p/taihentokoro/ts/5RG1V58XZQ/episode/te/R6P2YRMY13/

)によると、ネタバレO.Kという人がいるようだから、堂々とネタをばらす(蛇足を書くと、予めあらすじを知ったほうが映画を理解しやすいだとか、ネタバレO.K.の人が気遣いができるというデータがあるらしい)。

 

(以下、番組のあらすじ)

2019年末に中華人民共和国(以下、「中国」と表記)の武漢で発生した新型コロナウイルス(以下、「コロナウイルス」と表記)。中国は情報を隠蔽し、テドロス・アダノム事務局長がトップのWHOは楽観的なメッセージに終始する。番組では、ドナルド・トランプアメリカ大統領の対応を早いとしていた。すなわち、2020年1月31日の時点で独自に中国からの入国を禁止した。

 

台湾は中国で発生したコロナウイルスの情報をいち早く把握し、死者を10人未満に抑えこんだ。WHOの言うことを聞いたがゆえに判断が遅れた国もあったが、台湾は皮肉にも中国のせいでWHOから排除されたがゆえに迅速な対応を取れた。

 

番組は、タイトルの通り、「米中対立」とするが、コロナウイルスで露呈したWHOの機能不全がどのように起こったかを、識者のインタビューを交えながら明らかにしたドキュメンタリーである。

(あらすじ中断)

 

番組では、幅広くWHOの問題点を指摘しており、面白かった。テドロス事務局長の問題もあるが、それだけではないのは、観ればわかる。いか、筆者なりのあらすじの部分をもう少し開陳する。

 

(あらすじ、続き)

そもそもは、政治の介入を避けるために、わざわざ永世中立国であるスイスのジュネーブに本部を置いたが(番組)より、アルマータ宣言後に主導権争いが激しくなったのだとか。タイトルは「米中対立」だが、筆者の感想では、旧宗主国(いわゆる西側先進国)と旧植民地の対立という度合いが強く、それはWHOだけではない(が、番組の中心はWHOの上に、他機関の中国人のトップのことしか強調していない)。

 

それもあってか、旧宗主国側のアメリカは、ロナルド・レーガン大統領の時、発言力を強めるためにWHOへの拠出金(筆者メモより。「分担金」かもしれない)を減らした。そもそもWHOの予算は、加盟国の分担金が2割で、民間を含めた任意の拠出金が8割だという。アメリカが拠出金を減らしたくらいどうということはないではないか?と思われるかもしれないが、「拠出金」は曲者で、出す側が使途を決められるのだという。その弊害が出たのが、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の拠出金で、ポリオワクチンにしか使えなかったという。

 

2002年末、広東省で、動物のコロナウイルスが人に感染したが(SARS)、このとき中国は、当時の事務局長グロ・ハーレム・ブルントラント(ウィキペディア「Category:世界保健機関の事務局長」参照。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%BF%9D%E5%81%A5%E6%A9%9F%E9%96%A2%E3%81%AE%E4%BA%8B%E5%8B%99%E5%B1%80%E9%95%B7  )が中国に毅然とした対応を取った。そこで中国は、次の事務局長に、マーガレット・チャン(ウィキペディアでは「陳馮富珍」と表記)を、他国の支持を取り付けて送り込んだ。マーガレット・チャンの時はエボラ出血熱(2014年)の対応が拙かったらしい。

 

そしてあのテドロス・アダノムが事務局長に選出される。ただテドロス・アダノムに対する番組の評価はフェアで、ウィキペディアに載っているスキャンダルも扱っていたし、有能であるという評価も併せて取り上げている。

(あらすじ、終了)

 

番組制作者としては、昨今の米中対立もあり、それを強調する出来になっているが、それであれば、アメリカvs中国+アフリカ+いわゆる発展途上国+西側先進国、という構図もあり得るが、それを示していなかったので、筆者としては、番組の視点はズレていると感じた。WHOに関しては、テドロス・アダノム事務局長に問題なしとはしないが、構造的問題の方が問題が大きそうだし(そもそも予算が足りないらしいので。筆者は反証を持たない)、米中というより、旧宗主国vs旧植民地という色彩が強いと思った。なぜ旧植民地は旧宗主国の側につかないのかを旧宗主国の側が考えたほうがいいと思った。

 

というわけで、番組を取り上げたのは、昨今の国際情勢において、第2次世界大戦前の宗主国vs同じく植民地の対立が、旧宗主国側の主張が妥当としてその結果が出ない遠因の場合が多そうであることを警告したいがためである。

美空ひばりは 意外だったので あり得る非難

ネットサーフィンをしていたら、リアルライブ「『歌がうまい女性歌手ベスト30』1位の美空ひばりに違和感「趣旨がぶれる気がする」の声も」(2020年10月5日22時)

npn.co.jp

という記事を見つけた。記事によると、

 生放送された同番組では、プロの声楽家らが芸能界のしがらみなどに左右されず「忖度なし」で、本当に歌唱力の高い女性歌手30人を決めた。

(略)

第1位は「昭和の歌姫」こと美空ひばりだった

 という。

 

以前TBSテレビ系列全国ネットで放送された「1番だけが知っている」という番組で類似の企画があったのを思い出した。2019年12月2日放送の1コーナー「歌の専門家・声楽家77人が投票!1番歌が上手い歌手は誰なのか!?」である。

https://www.tbs.co.jp/ichibandakega_shitteiru/archive/20191202.html

筆者はそれを録画して見たが、たしか1位はMISIAさんだった。著者不明で恐縮だが(記事を見た限り筆者の記憶に合致しているのであえて取り上げる)『What an Interesting World』「声楽家が選んだ本当に歌が上手いJ-POPアーティスト総選挙のランキングトップ10は?」(

https://tmbi-joho.com/2019/12/03/jpop-artist10/

)をご一読。2020年10月4日21時から放送された「本当のとこ教えてランキング」は、「1番だけが知っている」の2019年12月2日の焼き直しに思えたので観なかったが、(おそらく1位はMISIAさんだろうな)と思っていただけに、筆者にとっても意外で、美空ひばり1位を否定的に評価するのは(筆者と理由は違うが)理解できる。

 

先ほどリアルライブの記事から「プロの声楽家ら」というところを引用したが、プロの声楽家であれば、歌い方が似ているMISIAさんが1位だと勝手に思っていたが、美空ひばりだった。美空の歌ってクラシカルな声楽と聴こえ方が違うので発生が違うということはないのだろうか?

 

なお、『歌がうまい女性歌手ベスト30』の結果は、先ほど引用したサイト『What an Interesting World』の「声楽家が選ぶ史上最も歌が上手い女性歌手ランキングトップ30 歌唱力No.1歌姫は誰?」からチェックしてね(他のサイトを見ても同じ結果だが、先述の引用のこともありここでもサイトを紹介)。

tmbi-joho.com

 

 

ニッポンの 真似をするなよ 中国サン

少々古いが、読売新聞2020年9月28日社説「中国語教育強化 少数民族の抑圧は許されない」

www.yomiuri.co.jp

って、賢い人に読ませると、(中国が日本の真似をしているのが許せないのかな)となるという話。以下、検討しよう(特に断りのない限り、引用は上記社説より)。

 

 少数民族が独自の言語を使う権利は、国際規約で保障されている

 社説の「国際規約」は、市民的及び政治的権利に関する国際規約第27条のことである。それでは、市民的及び政治的権利に関する国際規約の批准国等を見てみるか。

 

外務省HP「市民的及び政治的権利に関する国際規約(英語略)締約国一覧」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c_001_1.html によると、中華人民共和国は1998年10月5日に「署名」しているが、「批准」「加入」「承継」(後述、ユニセフの用語の「継承」は同じ意味と判断)、どれもしていない。これらの概念につき、「ユニセフ 子どもと先生の広場 用語の解説」によると、

締約(ていやく)
条約に批准(ひじゅん)、加入(かにゅう)、あるいは継承(けいしょう)していることで、条約の実行とその進み具合や状況を報告しなくてはなりません

批准(ひじゅん)
条約を国会でよく話し合って認め、国際的に宣言することです

加入(かにゅう)
署名(しょめい)の順序を省略して、そのまま条約を受け入れることです。

継承(けいしょう)
チェコスロバキアや旧ソビエト連邦などのように現在は数ヶ国に分かれていますが、当時の国家の条約をそのまま受け継いでいることです。

署名(しょめい)
条約の趣旨と内容に基本的に賛同することです。ただし、この条約に法律の力によってしばられることはなく、条約の実行は義務ではありません。

       (「ユニセフ 子どもと先生の広場 用語の解説」より)

 

である。となると、中華人民共和国は、市民的及び政治的権利に関する国際規約の実効は義務ではないことになる。というわけで、社説、間違い。残念!もちろん中華人民共和国の態度を肯定的に評価する趣旨ではない。

 

中国北部・内モンゴル自治区モンゴル語の授業が減り、標準中国語による教育が強化された。少数民族モンゴル族向けの小中学校で、「国語」教科書が標準語版に変わり、「道徳」と「歴史」も順次切り替えられるという。

 自治区では、モンゴル族が人口の約2割を占めている。住民らが「民族文化の危機」を訴え、授業のボイコットや街頭デモなどの抗議行動に出たのは当然だ。

 

お、大日本帝国みたいだねぇ。『現代の日本史A』(山川出版社、2013年発行)p59によると、「1930年代後半になると朝鮮・台湾に対する同化政策が強化されて(略)日本語の使用が強制された」とあるねぇ。あと、韓国併合時の武断政治って、たとえば朝鮮語言論の自由がなかったんだって。大阪産業大学人間環境学部 コミュニケーション学科 教授、藤永 壯(たけし)HP 『ナルゲ 翼をください』「1910年代の武断政治

http://www.dce.osaka-sandai.ac.jp/~funtak/kougi/kindai_note/Budan.htm によると、

 (3)言論・集会・結社の自由剥奪

 (略)

 朝鮮語の民間新聞・雑誌は発行禁止

                    (「1910年代の武断政治」)

だそうだ。なお、 弘谷, 多喜夫; 広川, 淑子「日本統治下の台湾・朝鮮における植民地
教育政策の比較史的研究」(北海道大学教育学部紀要第 22号)

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/29085/1/22_P19-92.pdf  p29にも「朝鮮文字の新聞の刊行は許可しなかった。」とある。ホント、大日本帝国と似てるねぇ。

 

 中国の憲法にも、「少数民族がそれぞれの言語、文字を使用し、発展させる自由」がうたわれている

 

 中華人民共和国憲法第4条第4項にある(『[新版]世界憲法集』(高橋和之・編、岩波文庫、2007)。中華人民共和国のすることが望ましいわけではないが、この条文の侵害かはわからない。大日本帝国は発行の禁止だったり、使用の強制だったわけだが、それと同じように評価できるかはわからない。なお、日本の教育だって、その土地の方言よりは標準語を用いるものだろう(この部分は未検証)。

 

 「一国二制度」に基づき、自由と民主主義が根付いている香港の歴史と文化を否定し、中国共産党の価値観を一方的に植え付けようとする試みである

 

も何も、もともと中国だったわけなのよ、香港って。 だから無邪気に「自由と民主主義が根付いている香港の歴史と文化を否定」なんて書くべきではない。

 

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

 でも読んで勉強ね。

 

 日本は、人権尊重の価値観を共有する国と連携し、中国に懸念を伝え続けていくことが重要だ

 

で締めるが、そんな暇があったら植民地支配の反省をすべきだよな。かつては発行禁止や使用強制をしたわけで、現在の中華人民共和国よりひどいと評価できるかもしれないからだ。

 

国際法も知らない、歴史も知らない、そんな人が「じんけんだぁ~」なんて書いても正直馬鹿馬鹿しい。

杉田水脈 今度は「女 嘘つきだ」

杉田水脈さんがまた世間をお騒がせしたようだ。というわけで、というわけで、アメーバブログ杉田水脈(すぎたみお) オフィシャルブログ』から2本検討しよう。

 

①「「一部報道における私の発言について」」(2020年9月26日14時時41分56秒)

ameblo.jp

 

②「内閣第一部会・内閣第二部会合同会議に於ける私の発言について」(2020年10月1日12時23分40秒)

ameblo.jp

 

まず②。

 民間団体の女性代表者の例を念頭に置いた話の中で、嘘をつくのは性別に限らないことなのに、ご指摘の発言で女性のみが嘘をつくかのような印象を与えご不快な思いをさせてしまった方にはお詫び申し上げます

、筆者の調査不足(具体的には音声データ未入手)という非難は甘受するも、上記引用が言いたいことだったと思う。

 

というわけで、例えば、デイリースポーツ「 杉田水脈議員「女性はいくらでもうそをつける」発言が物議、福島議員「差別と偏見」」(2020年9月25日)

www.daily.co.jp

にある(、単に)

 被害者を蔑視する発言

 という非難(性犯罪被害者の女性は嘘をつく)は該当しないと直感的に判断する。

 

次に①を検討しよう。

 まず、報道にありましたような女性を蔑視する趣旨の発言(「女性はいくらでも嘘をつく」)はしていないということを強く申し上げておきたいと存じます。

私が出席しておりました内閣第一部会・内閣第二部会合同会議では、男女共同参画の来年度要求予算額についての説明がありました。

男女共同参画の要求額が今年度の2倍となっており、その中で「女性に対する暴力対策」への比率が高かったことを受け、以下のような内容の発言をいたしました。

かねてより申し上げているように、私は女性への暴力はあってはならず、許されない犯罪だと考えており、暴力を振るった加害者はきちんと罰せられることで再発を防ぐべきであり、その為には警察の関与と連携は不可欠であると考えています。

被害者が民間の相談所に相談をして「気が晴れました」で終わっては、根本的な解決にはなりません。
警察の中に相談所を作り、女性警察官を配置することで敷居を下げ、相談しやすくすることができるのではないか、また、それが警察における女性活躍にも繋がるのではないかということを申し上げました。(①)

 

まずここから(不勉強だから議員辞めろよ)と言わざるを得ないんだよなぁ。と言ってもこれは当方も同じで、従ってYahoo!ニュース個人、小川たまか「「女性はいくらでもうそ」は言ってない? 杉田水脈議員の弁解ブログが輪をかけてひどい理由」(2020年9月27日12時37分)

news.yahoo.co.jp

を挙げておく(筆者なりに少々調べたが、検索でアクセスできる程度の話なので、杉田さんの不勉強をとがめることに問題はない)。

 

おそらく、杉田さんが言いたいのは、以下のくだりであり、報道からスポッと抜け落ちている。

 慰安婦問題と女性に対する暴力は全くの別問題ではありますが、一方で民間団体の関与という点においては、韓国の挺対協が「聖域」になってしまって、長年誰も切り込めなかった期間の公金の不正利用などの問題が次々と発覚していることもあり、日本でも同じ問題が起こる可能性を懸念する声もあります。(①)

 そもそも「慰安婦問題と女性に対する暴力は全くの別問題」から間違い。『デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金』「慰安婦とは」(2020年10月2日アクセス。

https://www.awf.or.jp/1/facts-00.html )によると、

 いわゆる「従軍慰安婦」とは、かっての戦争の時代に、一定期間日本軍の慰安所等に集められ、将兵に性的な奉仕を強いられた女性たちのことです

 とのこと。集められた人全員が同意に基づいているという根拠がないのだから「女性に対する暴力」の問題として慰安婦問題とまったく同じである。単なる女性一般や日本の性犯罪被害者蔑視ではなく、日本にとどまらない被害者蔑視である。それは「一方で民間団体の関与という点においては、韓国の挺対協が「聖域」になってしまって」(①)と、それこそ現在の日本に関係のないことを言ったと杉田さんが主張しているところからもわかる。これに関しては、能川元一さんの、2020年9月28日14時47分のツイートからヒントを得たので、挙げておく。

 

というわけで、杉田水脈流の慰安婦理解が間違いで、おまけに刑事政策学について不勉強だったことが事の本質と筆者は考える。