清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

警戒は 統一教会 だけじゃない

 まずは2つのツイートを紹介。

 

①あ~る菊池誠(反緊縮)(@kikumaco)さんの2022年7月20日17時49分*1のツイート。

 

藤倉善郎@やや日刊カルト新聞(@SuspendedNyorai)さんの2022年7月23日12時39分のツイート。

 

 最初読んだときは(今大事なのは旧統一教会*2だろ!*3)と思ったが、後述のやや日刊カルト新聞の記事を読むと、冷静になった方がいいなと感じた。もっとも、他の媒体を調べていないので、現時点で結論を出せなくて申し訳ないが。

 

 まず、親鸞会*4については、③「野党統一候補の柴田未来氏、偽装勧誘への関与認める=“選挙のために脱会した”とも発言」(2016年6月6日)のリンクを貼る。

dailycult.blogspot.com

 

 ③によると、

(前後略)

■偽装勧誘への関わりも認める

別の参加者からは、神戸大学在学中の活動についても質問が出ました。

参加者「神戸大学のサークルに入った時は、(柴田氏は)“親鸞会のサークルと言っていいかわからない”と言っていましたが、これは親鸞会のサークルと認定しなきゃいけないんじゃないですか」

柴田氏「私は法律家ですので、法的な正確性を期すために申し上げただけです。そういうふうに解釈される方がいるのは理解しています」

参加者「部室もぜんぶ親鸞会から家賃が出てて、活動費も出てると」

参加者「それで富山に連れて行こうとするじゃないですか」

参加者「指示系統も親鸞会の中にある。親鸞会の講師部を通じて指示が降りる。お金も降りる」

参加者「私も大学時代、足を運んでも入りませんでしたけど、親鸞会の“し”の字も言ってなかったですよ。でも入れば富山に連れて行かれます」

柴田氏「連れて行かれたというか、(富山には)私は自分のお金で自分の意志で行きましたよ」

参加者「だから、入るときには一切言わない。そういう形で親鸞会の非常に密接な関係にある団体でありながら、そのことを一切表に出さない。そういう勧誘の仕方というのは、問題あると思うんですが」(参加者)

柴田氏「平成7年のオウム事件があるまで、そういう問題があるってことは私自身はまったく意識していませんでしたので……」

参加者「オウム事件の後は意識するようになったってことですか?」

柴田氏「オウム事件の後、ちょっと何年かごちゃごちゃとしましたけど、私が知る範囲ではそういうトラブルはありませんでした」

参加者「トラブルがあったかどうかではなく、(偽装勧誘という親鸞会の)活動の仕方について問題を感じていないのか」

柴田氏「法的に問題はないです」

参加者「法的に問題なければいいんですか」

柴田氏「私は法律家ですので、法律的に分析するのが……。法的に問題なければいいとかではなく、いまでは早い時期に(親鸞会会長である)高森顕徹さんの名前は出してますし。騙しているとかないです。前も騙していたとかいうことはないのですが、より気をつけているということです。私自身は何も問題ないと思っています」

参加者「偽装勧誘は柴田さんはしてないんですね?」

柴田氏「偽装勧誘という定義もよくわからない」

参加者「親鸞会であるということを明かさずに勧誘するということは、してないですね」

柴田氏「それは偽装なんですか?」

参加者「偽装ですよね。学生だったら仏壇を隠して親鸞会に関係する者をぜんぶ隠して口裏を合わせて勧誘するわけでしょ。そういうことやってきましたでしょ、神戸大学で」

柴田氏「で、偽装は何を偽装するんですか」

質問に対して質問で返し、はっきり答えようとしません。

参加者「テキストとか親鸞会に関係するとか、見られたら親鸞会とわかるようなものをぜんぶ隠して、そういうことを言わないようにとみんなで口裏を合わせて、みんなで約束事を決めて、それで宗教じゃないって言って勧誘してましたね」

柴田氏「中身を見てくださいということで、お仏壇なんかがあると抵抗を感じる方がいらっしゃるということで、話を聞いて頂く前に拒絶反応を示すようなものを見えないところに置くということはありました」

参加者「それは親鸞会の学生部の学生に対する説明とまったく一緒ですね」

柴田氏「はい。答えたので、いいですか? (参加者たちに向けて)今日、このお話だけでいいですか? 何かお聞きしたいこととかありますか?」

というやりとりがあったという。

 

 POSSEについては、④「ブラック企業対策NPOPOSSEはブラックな左翼セクトだった」(2016年10月1日)のリンクを貼る。

dailycult.blogspot.com

 

 ④によると、

(前後略)

■名前がないセクト

 本人を特定されることを防ぐため、ここでは複数の元活動家の証言を組み合わせ「Aさん」という1人の証言として紹介します。

 数年前までPOSSEに関わっていたAさんは、「脱退してから時間も経っているので、現在も全く同じとは限らない」と前置きした上で(中略)

 Aさんが勧誘された際の手口は、こうです。

 当時新入生だったAさんに、「社会問題を勉強するサークル」という謳い文句で近づいてきた学生がいました。手には、バインダーに挟んだチラシを持っていましたが、それを手渡してはきません。それでいてAさんの連絡先を記入させ、別の日に開催された「社会問題についての勉強会」なるものにAさんを誘ってきました。政治団体や左翼セクトだということがわかる説明はなく、社会問題に興味があったAさんは、そのサークルに入ることにしたといいます。

 

(中略)

 

POSSEについては、サークルの先輩が手伝っているNPO法人、というくらいの認識でした。サークルに会費がない代わりに、確か500円くらいだったと思いますがPOSSEの会費を払ってくれと言われ、半ば自動的にPOSSEに入会させられました」(Aさん)

 Aさんが、「上部組織」の存在やPOSSEとの関係を知らされたのは、サークルに入ってから半年以上たってからだといいます。

 Aさんは、サークルの先輩にマンションの一室に連れて行かれ、「実は我々は政治団体なんだ」と明かされたとのこと。その部屋は、上部組織である左翼セクトのアジトでした。

 強制的に加入させられたわけではありません。

「それまで1年近くも一緒にサークル活動をしてきた先輩から、“当然入るよね?”という雰囲気の口調で誘われたので、特に抵抗は感じずに加入しました。強制ではありませんでしたが、後から考えれば、断りにくい段階になってから誘われたという気がします」(Aさん)

 両団体に共通するのは、かつては勧誘時に名前を秘匿して勧誘したということである。そして、これは、破壊的カルト*5と言われる組織が用いる勧誘なのだそうである。西田公昭『マインド・コントロールとは何か』(紀伊国屋書店、1995)p.16によると、「メンバー獲得のときに、組織名やその活動内容や目的を隠し、一般に人が警戒心をもちにくい別のダミー組織を名乗って接近するという組織もある」とあり、親鸞会POSSEも同様だったと判断せざるを得ない。

 

 筆者は浄土真宗本願寺派であり、POSSEについては、例えば『大人のいじめ』(坂倉昇平、講談社現代新書、2021)について肯定的評価をしたことがある*6。筆者が動揺したことは察してほしいし、両団体が現在破壊的カルトが用いるような勧誘をしていないことを祈っているものである。

*1:当ブログでは24時間表記にした。以下においては断りを入れない。

*2:世界平和統一家庭連合のこと。

*3:後述の内容の理解のために、ほぼ日刊カルト新聞で「統一教会 勧誘」で検索した結果のアドレスを示す。

http://dailycult.blogspot.com/search?q=%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%95%99%E4%BC%9A%E3%80%80%E5%8B%A7%E8%AA%98 筆者は実際に勧誘を受けた記憶はないが、類似の話を聞いたことがある。

*4:浄土真宗親鸞会のこと。以下においても「親鸞会」と記述する。

*5:西田公昭『マインド・コントロールとは何か』によると、「カルト(cult)とは、何らかの強固な信念(思想)を共有し、その信念に基づいた行動を熱狂的に実践するように組織化された集団のこと」(p.12)であり、カルト自体は問題ないが、その中には「警戒すべきいくつかの特徴を持つ組織化された反社会的集団」(同 p.13)があり、それを「『破壊的カルト(destructive cult)』」(同 p.13)というのだという。

*6:アマゾンレビュー「いじめ一般の 理解に資する本」(2022年6月27日。

https://www.amazon.co.jp/review/R1BC4VNKNIKPUR/ref=cm_cr_srp_d_rdp_perm?ie=UTF8&ASIN=4065260949

暗殺でもテロでもない 安倍銃殺

 2022年7月8日に、安倍晋三・元内閣総理大臣が銃殺された。

 

 この件について、安倍は暗殺されたり、テロの犠牲になったり、といったことが言われている。

 

 例えば、Twitterを見ていると、下記のツイートを発見した。ねこおぢ3(@necoodi3)さんの、2022年7月31日16時2分のツイート。

太田光(ひかり。爆笑問題)さんのコメントの映像がアップされている(おそらくTBS「サンデージャポン」の映像と思われるが、この引用の仕方では著作権法上の問題が生じると思う。引用元の明記がないので)。太田さんは、「暗殺」とも「テロ」とも言っている。

 

 それでは、「暗殺」と「テロ」*1の定義を見てみよう。コトバンクのリンクを貼る。

kotobank.jp

kotobank.jp

 

 まず「暗殺」。殺害全般ではなく、政治的なものに限られているのがわかるだろう。

 

 次は「テロリズム」。「政治的目的」などの政治関連が含まれる。

 

 となると、現時点において、安倍晋三銃殺犯は、政治的な動機を何ら語っていないので*2、暗殺ともテロ(テロリズム)ともすることはできない。

 

 本稿は太田光さんに対する批判になってしまったが、太田さんに対する何らかの感情があるわけではなく、言葉にはそれぞれ意味があり、それを正確に用いた方がいいと思っているので、あえて太田さんのコメントを批判した。

 

 

*1:コトバンク「テロ」

https://kotobank.jp/word/%E3%83%86%E3%83%AD-577344

によると、「テロリズム」の略なので、リンクは「テロリズム」とする。

*2:世界平和統一家庭連合の友好団体、「天宙平和連合(UPF)」のビデオメッセージに出ていたことが殺害動機とされている。読売新聞オンライン「安倍氏による教団トップへの称賛動画、山上容疑者が見て『怒りの置き換え』生じた可能性」(2022年7月16日10時40分。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220715-OYT1T50311/

)をご一読。なお、筆者は読売新聞の記事に賛成するものではない。

加害者も反政府も 命は大事

 加藤智大*1の死刑が執行された。その件について毎日新聞の記事を紹介する。「加藤智大死刑囚は『再審請求中』 人権団体が明らかに 秋葉原殺傷」(2022年7月26日20時14分(最終更新 同 21時32分)である。

mainichi.jp

 

 記事によると、

 加藤智大死刑囚の刑が執行されたことを受け、人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」は26日、東京都内で記者会見を開き、加藤死刑囚が再審請求中だったと明らかにした

という。

 

 アムネスティ・インターナショナル日本「日本:死刑執行に対する抗議声明」(2022年7月26日)も併せて。

www.amnesty.or.jp

 

 アムネスティ・インターナショナル日本によると

 加藤智大さんは第二次再審請求中でした。再審請求中の死刑執行は自由権規約第6条に違反するものです。国連自由権規約委員会の勧告に基づき、日本政府は再審あるいは恩赦の申請に執行停止効果を持たせたうえで、死刑事件における義務的かつ効果的な再審査の制度を確立すべきです

とのこと。まったくの正論である。

 

 また、アムネスティー・インターナショナルは、加藤智大の死刑執行と同じ日(2022年7月26日)に、「ミャンマービルマ):30数年ぶりの死刑執行 市民弾圧に拍車」

https://www.amnesty.or.jp/news/2022/0726_9640.html と題した声明を発表している。それによると、

 30年数年ぶりの死刑執行再開は、ますます多くの国が死刑廃止に舵を取る世界的潮流に逆行する。さらに、国際人権法、国際人権基準に謳われている死刑廃止の目標にも反する

とのこと。一貫している。

 

 一方毎日新聞はどうか。社説は

https://mainichi.jp/editorial/ から見てもらうとして、加藤智大の死刑執行への非難はなく、ミャンマーにおける死刑執行のみを批判している。その社説は7月28日「ミャンマー政治犯処刑 一線越えた暴挙非難する」

https://mainichi.jp/articles/20220728/ddm/005/070/112000c

である。

 

 命を奪われるのはどちらも同じ。それなのに加藤への執行非難がないのでは、一貫性がない。

 

 人間の生命が尊重されるべきは当然である*2。そうであるならば、正当防衛といった事情がない限りは殺されてはならないことは当然であり、死刑の執行自体、世界中どこでも非難すべきである。

 

 こう書くと「被害者の権利や辛さを考えているのか、こら!」という罵詈雑言が飛ぶものだが、それにも関わらず、必要もないのに人を殺すことを肯定できないのは、犯罪の場合と同じである。被害者の権利については死刑以外の方策を考えるしかない。

*1:故人につき敬称略。

*2:世界人権宣言第3条は法的拘束力がないとされてもご一読。それを具現化した市民的及び政治的権利に関する国際規約の第6条を素直に読めば死刑に否定的なのが理解できよう。

ジャズとシナ 実は似ている 言葉かな

 ジャズとシナ、もちろん意味は全然違うが、実は似ている言葉であるという話。

 

 Rolling Stone Japanのサイトに「『ジャズ』という言葉を葬ろう シオ・クローカーが語るレッテルと黒人差別の歴史」(Mitsutaka Nagira.2022年7月20日18時20分)という記事があるので、以下、本文に関係あるところを引用する。

rollingstonejapan.com

 

 ジャズという言葉は差別用語に等しい。そう聞くと驚く人もいるかもしれないが、これはジャズの歴史においてずっと語られてきたことだ

(中略)

そんな背景があるので、アフリカン・アメリカンのジャズ・ミュージシャンで「ジャズ」という言葉を拒絶してきた人は少なくない。かのマイルス・デイヴィスが自身の音楽を「ジャズではなくソーシャル・ミュージックと呼べ」と語っていたのはよく知られるし、ジョン・バティステが同じくソーシャル・ミュージックという言葉を用いているのも、こういった文脈と無関係ではない。(中略)(以上、1ページ目)

 

 「Jazz Is Dead」を掲げた真意

―ここからが今日の本題で、このアルバムの核となっている「Jazz Is Dead」について深く聞きたいです。この“ジャズは死んだ”、もしくは“ジャズを殺す”というのはどういうことか、あなたの言葉で聞かせてください。

シオ:(ジャズと呼ばれてきた)この音楽をすごく愛してきたし、僕は25年間にわたって演奏し、祖父であるドク・チータムは85年間もそれに仕えてきた。それでもジャズという言葉は、弊害しかもたらさなかったと思っている。音楽に対してもそうだし、この言葉が用いられることで、限られたごく少数の「死の床に伏してる」アーティスト以外はずっと苦しめられてきた。アメリカに限って言えば、演奏できる会場の種類も、会場に観に来てくれる、音楽を聴いてくれるオーディエンスも限定されてしまう。ジャズという言葉がくっつくと、大抵の人々がそこでもう聴くのをやめる。ということはつまり、マスター(原盤)の権利を持ってなかった故人のカタログが競争相手になるんだ。マイルスもコルトレーンもジャズという言葉を嫌っていたにも関わらず、そのカテゴリーに置かれ、ジャズにされてしまっている。死人に口なしだからだ。

 (中略)

シオ:でも、(ジャズと呼ばれている)音楽自体はまったく別だよ。音楽は今も生きているし、成長してる。僕は演奏し続けながら、音楽と伝統を発展させるため、これまで与えられた以上のところを目指したいと思っている。でもそうやって限界を押し広げ、音楽の一部であり続けるのであれば、その音楽が言葉によって限定されてしまうのを見たくないんだ。

ただ例えば、もう何年も行ってないけど……日本やヨーロッパでは、ジャズという言葉に込められた意味合いが違う。アーティストや音楽に対して、アメリカとは違うリスペクトがそこにはあり、受け入れられている。その他のポピュラー音楽と同じレベルで評価され、勢力を誇っているように映る。つまり、軽んじられているのはアメリカだけってこと。(以下略)(以上2ページ目。3ページ目は引用箇所なし)

 

 この引用の是非の判断は読者にまかせるとして、アメリカにおいて「ジャズ」というのは差別語・侮蔑語の類である一方で、日本やヨーロッパではそうではないということがわかる引用にしたつもりである。実際の記事は引用よりもっと深いことが語られているので、ぜひオリジナルを読んでほしい。

 

 このジャズの話を読んで真っ先に思ったのは、「シナ」という言葉である。以下、『最新差別語不快語』(小林健司・著、辛淑玉・企画、にんげん出版、2016)から引用してみる。

 「シナ」(略)は、中国の人々の感情を害する差別語です。しかし(略)現在でも"シナ(支那)そば"などの表記に見られるように、日常的に使用されています。(略)後に日本が中国侵略を遂行する過程で、中国人をさすときに差別的響きをもって使用されるようになりました。

 

 日本政府[ママ]は、1912年に成立した"中華民国"を、あくまで「支那共和国」と公文書に記し、中国[ママ]側の再三にわたる抗議にもかかわらず呼称しつづけました。(中略)

 

 中国国民にとって、「支那」という言葉は、日本の中国侵略と結びついて、中国人に対する差別的なイメージが付与されている言葉です。

 

 -『最新差別語不快語』pp.228-229

 

 上記引用の説明では、日本人が「シナ」を使う場合に限り差別語になるということである。アメリカ人が「ジャズ」を使う場合に限り差別的なニュアンスを帯びるという話と似ている。

 

 このように、言葉は、言葉そのものではなく、誰が使うかによって異なる意味が付与されるということは、知っておいて損はないだろう。筆者同様の日本人としては、「ジャズ」を用いるときは気を使わなくていいが、「シナ」は安易に用いない方がいいということになろう。

片田珠美 真山仁 引退勧告

 今日取り上げる2人のプロフィールは、ウィキペディアで確認。

 

片田珠美 - Wikipedia

真山仁 - Wikipedia

 

 2022年7月8日に、安倍晋三・元内閣総理大臣が銃殺されるという痛ましい事件が起きたが、現時点では、安倍晋三が世界平和統一家庭連合(以下、「旧統一教会」と記す)の友好団体*1の動画に出ていた*2ことが引き金になったということで落ち着いている。

 

 ところが、日時は失念したが、「ニュースウォッチ9」(NHK総合)を観たところ、一聴してトンデモな解説と思われるものを2つ発見したので取り上げる。その解説は、NHK NEWS WEB「安倍元首相銃撃から1週間 容疑者の人物像は 警備の問題点は」(2022年7月15日20時59分)に載っている*3ので、以下、引用しつつ検討する。

www3.nhk.or.jp

 

容疑者の心理 精神科医が分析*4

 

 犯罪心理に詳しい精神科医の片田珠美さんは容疑者について、「過酷な人生を送った結果、『普通の人には許されないことでも、自分には許される』というゆがんだ特権意識が生まれ、事件につながったのではないか」と指摘しています。

 片田さんがこれまでに報道されている内容を分析したところ、「中学や高校時代は非常に優秀だったという証言もあるが、卒業後は人生がうまくいかず、この20年間、安定した職に就くことができていなかったとされている。『頑張っても報われない』といった不満が積もる中、母親がのめり込み多額の献金をしていた宗教団体に恨みを募らせたが、代表者に接近することが難しかったため、その矛先を別の対象に向ける『置き換え』という心理が働いたと考えられる」と述べました。

 そして、「報道を見るかぎり容疑者は過酷な人生を送ってきたため、『自分はこれだけつらい思いをして不公正に不利益を被ったのだから、普通の人には許されないようなことでも自分にだけは許される』というゆがんだ特権意識が生まれ、事件につながったのではないか」と指摘しました。

 また、近年発生している無差別殺傷事件との関連については、「今回は形は異なっているものの容疑者が強い欲求不満を抱きつつ孤立し、絶望感、無力感、復しゅう願望を抱いていた点で共通している」と述べました。

 そのうえで片田さんは、「現代は地域や家庭のコミュニティーも崩壊しつつあり、困ったときに誰にも助けてもらえないような状況が目立っている。容疑者も孤立しうっ屈していた可能性が高いが相談できる相手がいないと他人の意見や考え方、感じ方を聞く機会がないため視野狭さくに陥りやすく、復しゅう願望に凝り固まってしまったのではないか。われわれもひと事と思わず、できるだけ声をかけていく、見守りをする、相談窓口を紹介するなどといった対応が必要だと思う」と指摘しました。

 

 正直、「「過酷な人生を送った結果、『普通の人には許されないことでも、自分には許される』というゆがんだ特権意識が生まれ、事件につながったのではないか」」がよくわからない。「「過酷」」って客観的なものなのか。主観であれば相当数の人が持っているものと思われ、そうなると事件頻発となるが。「母親がのめり込み多額の献金をしていた宗教団体」までたどり着いているのに、そこからの考察が足りないなぁ。

 

小説家 真山仁さん「事件の背景 冷静に見る必要ある」*5

 元新聞記者で社会派の作品を多く手がけてきた小説家の真山仁さんは、「銃社会ではない日本で、総理経験者が事件に遭うというのは、最初はなかなか事実を受け入れられなかったが、一方で、いつかこうしたことが起きるのではという社会のムードもあった。特に若い世代の人たちが息苦しさを感じていたので、閉塞感や怒り、不満みたいなもののマグマが社会の底流にはずっとあった。社会を見ながらモノを書いている人間からすると、嫌なムードだというのはこの10年くらいずっと思っていたので、それが今ここで来たのかと感じた」と話しました。

 一方で、「まだ、そんなに時間がたっていない中で、情報が膨大に出てきていて、そこに飛びつきすぎている印象がある。影響力のあった元総理大臣が銃撃されて亡くなるという衝撃は大きく、メディアも含めて多くの人が『なぜ』と知りたがるのは当然だが、少なくとも今、表出している情報に関して言うと、明らかに個人的な、ある意味逆恨みのような犯行としか思えない。ただ、もう少しうがった見方をすれば、そういう情報ばかり出ているということも少し気をつけないといけない」と述べ、事件の背景を冷静に見る必要があると指摘しました。

 そして、1週間しかたっていない中で、事件の原因や背景を結論づけることは難しいとしたうえで、「今、たくさんの情報に振り回されるのではなく、どうすればこのような事件が二度と起きないようにできるのか、あるいは、この事件で私たちは時間をかけて、何を見ていかないといけないのか、自問自答したほうがいいと思う」と話していました。

 

 真山さんに至っては、片田さんでも言及した「宗教団体」が抜け落ちている。被疑者は40代前半だから「若い世代」としても、また、旧統一教会の被害者が生み出されているにしても、「若い世代」の「閉塞感や怒り、不満みたいなもののマグマ」というのはちょっと広げ過ぎではないか。

 

 もちろん、「1週間しかたっていない中で、事件の原因や背景を結論づけることは難しい」に決まっている。しかし、献金や破産、手紙の投函の事実がある現状では、旧統一教会の信者の子であるがゆえのつらさであることを否定するのは難しいのではないだろうか。そして筆者が「『自問自答』」した結果は、政治家が旧統一教会との関係を断ち切るべきであることをブログに書くことである。旧統一教会と関係がある政治家を批判することによってさらなる犠牲者が出ないようにするのである。

 

 文章にするとマシに見えるが、「ニュースウォッチ9」を見た時は少々怒った。霊感商法で人々を苦しめた旧統一教会の友好団体に安倍晋三が出ていたこと自体が非難されるべきはずだが、それをスルーして「『特権意識』」(片田珠美さん)だとか「若い世代」の「閉塞感や怒り、不満みたいなもののマグマ」(ともに真山仁さん)だとかという分析をするのでは勉強不足にしか見えない。両氏の引退を勧告するものである。

*1:統一教会の弁。

*2:2回だとか。プレジデントオンライン「安倍元首相だけではない…米メディアが「トランプ元大統領と統一教会の癒着」を相次いで報じる理由(略)」(シェリーめぐみ。2022年7月21日10時。

https://president.jp/articles/-/59761 )によると、「特定の団体のイベントに、わずか半年の間に2度出演というのは、なかなかの頻度にも感じられる」とのこと。

*3:完全に同じかは確かめていないが、概ね同じとしてよいと判断した。

*4:原文太字。

*5:原文太字。

主張をね 事実と偽装 読売が

『読売新聞』は、今「安倍政権の機関紙」のようになっていますね。安倍首相と親しい主筆渡邉恒雄氏のカラーが非常に強く出ています。たとえていえばソ連時代の「プラウダ」と同じで、これはこれでやはり読んでおかなければいけない。

 -『僕らが毎日やっている最強の読み方』(池上彰/佐藤優東洋経済新報社、2016)pp.71-72。佐藤優さんのコメント

 

 2016年時点で上記のような評価を受けた読売新聞。この頃から壊れていたようだが、安倍晋三銃殺事件以降の壊れっぷりはハンパない。今日取り上げる記事は、2022年7月20日統合版1面に載った「首相、韓国側の尽力要求(以下略)」だが、読売新聞オンラインに同様の記事、すなわち、「岸田首相、慰安婦・元徴用工問題で韓国外相に『解決に向けて尽力』求める」(2022年7月19日23時28分)である。

www.yomiuri.co.jp

 記事によると、

 日韓間の請求権を巡る問題は、「完全かつ最終的に解決された」と規定した1965年の請求権・経済協力協定で法的に決着している。

という。

 

 誰が決めたの?国際司法裁判所で確定でもしたのか?あくまで日本政府の立場でしかないのに上記引用のように確定したこととして書いていいのだろうか。

 

 ところで、佐藤優さんが言及した「プラウダ」とは何か。

プラウダとは - コトバンク によると、

 モスクワで発刊され、ロシア全土に配布される日刊紙で、1918年から91年まで、ソビエト共産党中央委員会の公式機関紙であった(以下略。日本大百科全書 ニッポニカの解説)

という。

 

 機関紙とは - コトバンク

によると、

 政党、団体、グループなど公的な事業活動を目的とする組織が、その構成員に対する意思の伝達、内部の連絡、あるいは外部に向けてその主義・主張を教宣するために発行する定期刊行物またはそれに準ずる印刷物の総称

だという。

 

 新聞には「主義・主張」*1もあるが*2、基本的には事実を書くものである。しかし、読売新聞が書いたような「日韓間の請求権を巡る問題は、「完全かつ最終的に解決された」と規定した1965年の請求権・経済協力協定で法的に決着している」という事実はない。「主義・主張」*3を事実のように書くのでは、フェイクニュースとの非難は免れない。

 

 それにしても、佐藤優さんの「ソ連時代の『プラウダ』と同じ」*4というのは的確なコメントで、現在の読売新聞にも当てはまる。読売新聞の自浄能力のなさに辟易する日本国民も多かろう。

*1:コトバンク「機関紙とは」参照。

*2:例えば社説。

*3:*1に同じ。

*4:『僕らが毎日やっている最強の読み方』(池上彰/佐藤優東洋経済新報社、2016)p.72。

夕刊フジ フェイクニュースを 流してる

 まずは、「こちら夕刊フジ編集局」@yukanfuji_hodo が、2022年7月17日10時4分にしたツイートを。

 朝日新聞デジタル内で「朝日新聞 川柳」で検索した結果は、

https://sitesearch.asahi.com/sitesearch/?Keywords=%E6%9C%9D%E6%97%A5%E5%B7%9D%E6%9F%B3&Searchsubmit2=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&Searchsubmit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&iref=pc_gnavi

安倍晋三が銃殺された2022年7月8日以後の「投稿を募集のテーマ」に、「国葬を揶揄するテーマで読者に川柳を募る」*1ものが一切なかったことを、以下のアドレスから確認されたし。

 

2022年7月9日 

https://www.asahi.com/articles/DA3S15349448.html?iref=pc_ss_date_article

2022年7月14日 

https://www.asahi.com/articles/DA3S15355545.html?iref=pc_ss_date_article

2022年7月15日 

https://www.asahi.com/articles/DA3S15356741.html?iref=pc_ss_date_article

2022年7月16日 

https://www.asahi.com/articles/DA3S15357952.html?iref=pc_ss_date_article

 

 また、川柳の課題もたいてい自由である。筆者が安倍晋三死亡後にテーマで川柳を募ったと認定できるのは、2022年7月19日の朝日川柳・山丘春朗選の「課題『脱ぐ』」くらいである。

https://www.asahi.com/articles/DA3S15360377.html?iref=pc_ss_date_article

 

 もちろん、「こちら夕刊フジ編集局」がツイートした「国葬を揶揄するテーマ」は存在する。募集の根拠は発見できていないが、2022年7月16日の朝日川柳・西木空人選である。

https://www.asahi.com/articles/DA3S15357949.html?iref=pc_ss_date_article

 

疑惑あった人が国葬そんな国(福岡県 吉原鐵志)

(略)

死してなお税金使う野辺送り(埼玉県 田中完児)

☆忖度(そんたく)はどこまで続く あの世まで(東京都 佐藤弘泰)

国葬って国がお仕舞(しま)いっていうことか(三重県 石川進

(以下略)

2番目と6番目、7番目の句は筆者がそうではないと判断して取り上げず、「忖度(そんたく)は」の句は、選者の評価から国葬について取り上げていると判断して取り上げた。

 

 これらの句は、なかなかの句で、文句を言う方がおかしいと思う。

 

 桜を見る会前夜祭に関する国会答弁において118回も虚偽答弁したと認定されたのは事実である*2

 

 政治家の所得状況はいろいろでも、生活保護*3を受給しなければならないほどひっ迫している人は聞いたことがない。それなのになぜ国葬なのかという疑問は当然だと思う。

 

 「忖度(そんたく)は」や「国葬って」の句も、それなりに理解できるものである。

 

 「こちら夕刊フジ編集局」が怒るほどのことでもなく、この程度のことが書けない社会の方がずっと問題だろう。

 

 とこのように、最近は、自由民主党支持と思われる人が、反対と思われている人を不当に攻撃する場面が多いように思う。現在警戒しなければいけないのは、国葬についての議論より、反自由民主党に思われた人への不当な攻撃である。本エントリーがその理解の一助になれば幸いである。

 

*1:「こちら夕刊フジ編集局」@yukanfuji_hodo が、2022年7月17日10時4分にしたツイート。

*2:「批判と中傷 区別ができぬ 読売が」をご一読。

https://kiyotaka-since1974.hatenablog.com/entry/2022/07/09/183059

*3:葬祭扶助がある。生活保護法第11条第1項第8号、第18条。