清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

暇空茜問題 日本のミソジニー?

1.まずは100分de名著(@nhk_meicho)が、2023年1月13日18時33分にしたツイートを。

 

 これ、面白かった。2月5日0時からぜひ観てください。もちろん録画も可能。

 

 筆者のメモから、読者に参考になるところを書いてみる*1

 

(1)ディストピア小説3原則

 ア.国家による性と生殖への介入

 イ.国家による知と言語リテラシーの抑制

 ウ.国家による文化・芸術への介入

 

(2)「本人を主体化しない支援は支援ではない」(筆者が聞いた限りでは、支援される人が支援内容を決定するのが大事だということ)

 

(3)避妊しない男たち

 

(4)家父長制がホモソーシャル(同性同士の絆。なお、女性はカネと権力がないので、そういうものはないらしい。番組より)を生んだ

 

(5)異性愛の男とは、ホモフォビア(同性愛嫌悪)を持っていて、ミソジニー女性嫌悪・蔑視)を通じてホモソーシャルを持つ集団に成員資格を認められた男のことである。

 

 他にもあるが、これくらいにしておくか。筆者のメモでは面白さが伝わらないかもしれないが、刺激的な内容なので、視聴を勧める。

 

2.筆者は、暇空茜問題につき、「暇空茜 自由な社会 嫌いなのか」という記事をアップした。

 

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

そこで引用したデイリー新潮の記事*2には、

「僕は温泉むすめのファンではありません。ただ、宇崎ちゃん騒動と同様に、仁藤さんは作品に対して一方的に自分たちの倫理観によって、悪と決めつけ断罪して攻撃してきた。仁藤さんの批判によって、温泉むすめの運営会社は『スポーツ文化ツーリズムアワード2021』の表彰を辞退までさせられたのです。あのやり方は魔女狩りのレベルです。あれを見て、じゃあ、あなた方がやっている事業は後ろ暗いところはないんだろうな、徹底的に調べあげてやると覚悟を決めた。それでColaboの運営や会計についての調査を開始したのです」(3ページ目)

と、怨恨による嫌がらせであることを公にした。この動機自体もどうかと思うが、それに便乗した動きもあるようだ。仁藤夢乃(@colabo_yumeno)が2023年1月12日18時29分にしたツイート。

 

 連投も全部読んでほしいが、仁藤が嫌がらせと判断したのは、たいてい男性がしたことである。ミソジニーの人が多いように感じるのは気のせいか。

 

 仁藤は、連投のうち一つで、「温泉むすめ」についての批判をしている。2023年1月12日18時44分のツイート。

 

 暇空茜も、ミソジニーのみなさんも、やることが違うのだ。例えば「温泉むすめ」が、「少女に対する性加害や性搾取を肯定し助長するような設定や描写」*3ではないことを説明すればいいのである。それすらしないで、仁藤がツイートしたような嫌がらせを実際にしたとすれば、明らかにズレた対応である。

 

3.まとまりのない内容は毎度のことで申し訳ないが、要は、暇空茜問題は、日本のミソジニーの深刻さを露わにしたということを、NHKEテレフェミニズムを題材とした番組を観て思ったということである。

*1:筆者が実際に番組を観たうえでの感想であるが、ズレていると思う人もいるだろう。

*2:「『Colabo問題』追及で7000万円の支援金を集めた男性が独占告白『これはネット界におけるウクライナVSロシアの戦争です』」(2023年1月6日。

https://www.dailyshincho.jp/article/2023/01061216/?all=1

*3:

https://twitter.com/colabo_yumeno/status/1613471890223542273

インターナショナル スクールだから 何とかしろ?

 読売新聞オンラインの記事「『英語力を』保護者の需要に応え、インターナショナルスクール続々…公立校と掛け持ちも」(2023年1月11日21時44分)

www.yomiuri.co.jp

を問題視できない人が問題であるという話。以下、記事から引用してみよう。

 

インターナショナルスクールの多くは、学習指導要領に沿った授業を行う学校教育法1条で定める「学校」(1条校)ではなく、日本の小中学校の卒業資格を得られない。さらに同法では、保護者に日本国籍の子供を1条校に通わせる「就学義務」も課している。(2ページ目)

 

 不登校児らが通うフリースクールは1条校でないが、施設での学びは教育機会確保法で認められており、在籍校の校長は、学習記録を基に出席扱いにできる。しかし、インターナショナルスクールに通う子は同法の対象外だ。文科省は「1条校に通ってもらうよう教育委員会から督促してもらうしかない」と具体的な対応を取る予定はないという。

 弁護士で兵庫教育大准教授(教育学)の神内聡氏は「公立校に在籍しながら、実態はインターナショナルスクールにしか通っていない状況を国は黙認すべきでない」と文科省の姿勢を批判。「まずはスクールに通う子供の現状を把握した上で、学習内容などを適切に評価する仕組みを検討するべきだ」と話している(3ページ目)

 

 これはインターナショナルスクールに限らない。他の外国人学校もそうである*1。例えば、カテゴリーは違うが、朝鮮初級朝鮮学校の生徒の1割が日本国籍である*2。なぜインターナショナルスクールのみを問題にするのだろう。

 

 本来の予定稿は「インターナショナルスクールなら読売新聞の記事の通りだが、例えば朝鮮初・中級学校と書いてあったら『ぜってぇぇぇ~~に認めねぇぞ!』という人がいそうだな」であったが、実際には、既に解決法がある。文部科学省HP「高等学校入学資格 Q&A」(2023年1月13日アクセス)である。以下、引用してみる。

 

Q1 日本に居住しながら日本の中学校等に就学していない者が、高等学校に入学することはできますか。

A1
 学校教育法第16条及び第17条の規定により、学齢児童生徒の保護者に対しては就学義務が課されていることから、保護者が、その子である生徒を中学校等に就学させないことは制度上想定されていません。
 しかしながら、何らかのやむを得ない事情によって義務教育を修了していなくても高等学校への入学は可能であり、中学校卒業程度認定試験を受験し合格した上で、高等学校の入学者選抜試験を受験することができます。

Q2 日本にある外国人学校中等部を卒業したことによって高等学校入学資格を有しますか。

A2
 日本にある外国人学校中等部は中学校ではないため、これを卒業したことをもって、高等学校入学資格を有するものではありません。
 しかしながら、A1にあるように、中学校卒業程度認定試験を受験し合格した上で、高等学校の入学者選抜試験を受験することができます。
 なお、当該生徒の保護者が日本国籍を有しない場合には、そもそも、その保護者に就学義務は課されていないため、校長の判断により、各高等学校において、中学校卒業者と同等以上の学力があると認められた者についても、当該高等学校の入学者選抜試験を受験することができます。(学校教育法施行規則第95条第5号)

 

 読売新聞にある神内聡の見解を採用する必要はなく、現行制度で特に問題はなさそうである。

 

 インターナショナルスクールだから何とか認めてくれ、という差別意識が背景にあったとすれば、問題の記事である。そうでないなら、制度も知らずに書いたマヌケな記事ということになる。

 東京都内の公立中学校では、インターナショナルスクールに通う生徒が10人在籍し、スクールが夏休みに入った7月前半の1週間だけ通ってくる。同中学校で学んでいないため、通知表は出せないが、校長は「籍がある以上、卒業証書を渡さざるを得ない」と話す。*3

ということで済むのであれば、それでよく、それがまずいなら、中学校卒業程度認定試験を受験すればいいだけのことである。

*1:文部科学省HP「高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度の対象として指定した外国人学校等の一覧」(2023年1月13日アクセス。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1307345.htm

*2:バリバラタイムズ「玉木幸則のマイノリティーワンダーランド『朝鮮学校から多様性社会を考える』」2022年7月22日23時。

https://www.nhk.jp/p/baribara/ts/8Q416M6Q79/blog/bl/pLX3Q03nzZ/bp/pWM3BDDerJ/

 なお、「カテゴリーは違う」とは、初級学校は小学校相当であり、読売新聞の記事は主に中学校を問題にしている。なお、バリバラタイムズによると、「ちいん『民族学校に通うのは義務教育まで、っていうのも親の希望ですし、高校から日本の学校っていうのも親の決めたことやったんですけど(以下略)』」ともある。

*3:「『英語力を』保護者の需要に応え、インターナショナルスクール続々…公立校と掛け持ちも」2ページ目。

中国より あわや日本が マヌケかな

 ZAKZAK by 夕刊フジ「中国のビザ停止に岸田首相『極めて遺憾』 外交ルートを通じて抗議、撤回を求める 『ただの嫌がらせ』申請を断られ怒りの声も」(2023年1月12日15時30分)

www.zakzak.co.jp

によると、

 岸田文雄首相は11日(日本時間12日)、中国による日本人へのビザ(査証)発給手続き停止に関し「新型コロナウイルス対策とは一見、関係がないと思われる制限を一方的に行い、極めて遺憾だ」と述べた。外交ルートを通じて抗議し、撤回を求めたと強調した。訪問先のロンドンで記者団の質問に答えた

という。

 

 「ビザ停止」で思い出した。かつて、ある国の判決に不満があり、査証要件を厳格化することを画策した、馬鹿な国があったな。日本国というんですけどね。当ブログ「読売より 日本知ってる 海外メディア」をご一読。

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

 

 筆者の上記ブログ記事によると、

ところで、昨今の輸出管理強化について、*1に興味深い記述が。以下、引用する。

「今回の輸出管理厳格化について、外務省で日韓関係を担当するアジア大洋州局は相談を受けなかった。経済産業省幹部は『外務省が韓国人に対する査証要件厳格化といった"対抗措置"をやらないから、経産省が引き取った』と明かす 」*1

とある。

 

 当時の外務省は賢かったので、気に入らない判決が出たからといって、「一見、関係がないと思われる制限」*2を課すことはなかったが。もしやっていたら、「『ただの嫌がらせ』」*3なのは明らかだろう。実際の輸出管理強化もその類だが。

 

 今回の日本の抗議が仮に正当だとしても、外国人には入国の自由がないわけなので、中国の方針を否定的に評価するのは難しい。仮に気に入らない判決が出たことを理由として「査証要件厳格化」*4しても同じことだが、どう見ても今回の中国の方が、日本がやろうとしてやらなかったことよりまともだと思うが、いかがだろうか。

 

 ともあれ、気に入らない判決が出たことを理由として、「査証要件厳格化」*5を実際にしなくてよかったということである。

*1:引用内のカギカッコの部分は、読売新聞2019年8月29日統合版13版4面「検証 安倍政権 2 『対抗措置』」からの引用。

*2:ZAKZAK by 夕刊フジ「中国のビザ停止に岸田首相『極めて遺憾』 外交ルートを通じて抗議、撤回を求める 『ただの嫌がらせ』申請を断られ怒りの声も」

*3:*2に同じ。

*4:「読売より 日本知ってる 海外メディア」

*5:*4に同じ。

暇空茜 自由な社会 嫌いなのか?

 筆者がインターネットに接すると、一般社団法人Colabo*1の話題が過熱している印象がある。

 

 その火付け役が、暇空茜(Twitterアカウントは@himasoraakane)*2ということで、デイリー新潮が特集している。題して、「『Colabo問題』追及で7000万円の支援金を集めた男性が独占告白『これはネット界におけるウクライナVSロシアの戦争です』」(2023年1月6日)。

www.dailyshincho.jp

 

 注目すべきは、デイリー新潮の上記記事の3ページである。以下、引用する。

そんな暇空氏がフェミニスト界隈と対決姿勢を強めるきっかけとなったのが、「宇崎ちゃん騒動」だった。19年に日本赤十字社献血ポスターとして採用した漫画「宇崎ちゃんは遊びたい!」のイラストに対し、女性差別問題について活発に発信することで知られる太田啓子弁護士が「環境型セクハラ」などと批判を展開。それに対し、漫画オタクたちが中心となって「表現の自由の侵害だ」と反発した騒動だ。批判を恐れた一部の献血ルームではポスターを撤去する事態になった。太田氏は暇空氏を訴えた弁護団の一員でもある。

「僕は漫画が大好きなんで、この作品を燃やす行為にすごくムカつきました。性的な表現だと批判すること自体は、個人の自由だと思う。けれど、漫画家が一生懸命作り出した作品に泥をかぶせ、排除しようとするのは行き過ぎです。漫画文化の未来を閉ざそうとする攻撃を許すわけにはいかないと思った。そして、今年5月に立ち上げたYouTubeチャンネルでまずこの問題を取り上げ、作品潰しに動いていた人物のウソを暴くなど調査を始めました」

 その活動をあらかた終えた後、次なるターゲットとしたのが仁藤氏だった。仁藤氏は、同じくイラストが問題視された「温泉むすめ」批判の急先鋒だった。「温泉むすめ」とは日本各地の温泉地を美少女キャラクター化し、アニメーションや漫画、ゲームなどのメディアミックスが展開したプロジェクトで、観光庁も後援している。仁藤氏はそのイラストや紹介文に対して、「性差別で性搾取」などとTwitterで批判していた。

「僕は温泉むすめのファンではありません。ただ、宇崎ちゃん騒動と同様に、仁藤さんは作品に対して一方的に自分たちの倫理観によって、悪と決めつけ断罪して攻撃してきた。仁藤さんの批判によって、温泉むすめの運営会社は『スポーツ文化ツーリズムアワード2021』の表彰を辞退までさせられたのです。あのやり方は魔女狩りのレベルです。あれを見て、じゃあ、あなた方がやっている事業は後ろ暗いところはないんだろうな、徹底的に調べあげてやると覚悟を決めた。それでColaboの運営や会計についての調査を開始したのです」*3

 

 もちろん、太田啓子が「『環境型セクハラ』」と言ったとすれば*4問題である。たいていセクハラことセクシャル・ハラスメントというのは、職場や学校といったある種の関係性のあるところで問題になるからである*5。隠喩といえるかもしれないが。

 

 しかし、暇空茜の動機はいただけない。献血ルームも温泉むすめの運営会社も批判が一理あると思っただけのことだろう。どちらも批判を無視することができたのにもかかわらずそれに応えたわけだから*6。太田であれ仁藤夢乃であれ、漫画を描くこと自体を禁止しているわけではないし、その力もない。

 

 実際の監査結果は、おそらくこちらと思われる。

https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5.pdf

請求人のほぼ完敗である。

4(3)ア(履行)*7「後述のとおり一部疑義があるものの、法人Aが本件契約に定められた委託内容を履行していないといった特段の事情は認められない。」、

 

ウ 請求人の主張について

(ア)(宿泊支援費)「本件活動報告書に基づいて宿泊数を過大に請求しているとする請求人の主張は妥当でない」、

 

(イ)(車両関連費)「車両関連費に係る本件経費は(表3)のとおりであり、新たなタイヤやドライブレコーダーの購入、月6万円の駐車場の賃借については本件経費に計上されてなく、一方、月極駐車場代やタイヤ交換費用(冬用タイヤへのいわゆる履き替え)、また本件実施状況報告書に記載されていないが車両に積載する備品類の購入等が計上されていることは確認ができることから、請求人の主張は妥当でない」、

 

(ウ)(旅客交通費)「本件実施状況報告書ではガソリン代、移動交通費の内訳の記載はないものの、実際に要したガソリン代や移動交通費を本件経費として計上していることが確認されることから、試算に基づく請求人の主張は妥当でない」

 

(エ)(通信運搬費)「通信運搬費に係る本件経費は(表3)のとおりであり、携帯電話代を本件経費に計上していることが確認はできる。なお、本件事業所要額内訳の合計額は誤記である」

 

(オ)(会議費)「会議代などを本件経費に計上していることは確認できるため、本件活動報告書を根拠とする請求人の主張は妥当でない」

 

(カ)(各種保険)「各種保険に係る本件経費は(表3)のとおりであり、法定福利費などを本件経費に計上していることは確認できるため、本件活動報告書を根拠として過大申告とする請求人の主張は妥当でない」

 

(キ)(医療費)「本件活動報告書で支援があったとする医療費とは別の実際の医療受診費用等を経費に計上していることが確認できるため、医療費が不正に請求されたものであるとする請求人の主張は妥
当でない。」

 

(ク)(人件費)「税理士、社労士報酬を本件委託料に含めるべきではないとする請求人の主張の一部には理由がある」

 

(ケ)(実施状況報告書の信憑性に関する主張)「法人Aの自主事業も含む本件活動報告書と本件委託に係る都に提出した実施状況報告書との差異を述べるにとどまり、本件実施状況報告書に不正があることの合理的な疎明はなされておらず、請求人の主張は妥当でない」

0.5勝8.5敗くらいか。なお、4エ「監査対象局からの説明聴取及び提出のあった領収書等の関係帳簿の調査、関係人調査によって検証した」ところには「不適切な点」や「妥当性が疑われるもの」といった記述があることも付記しておく。

 

 Colaboに問題はあるかもしれないが、暇空茜のやっていることは応援できないな。「最高裁まで争い6億円をゲット」*8した成功体験が忘れられないのも動機の一つなのだろう。献血ルームや温泉アピールに女性性をアピールするキャラクターを用いることは何ら問題ないとフェミニストを説得しないと、現状は変わらない。

*1:サイドのアドレスは

https://colabo-official.net/ 。なお、本稿はColaboの宣伝ではないので注釈でサイトのアドレスを記した。

*2:本稿も、個人も団体も敬称略。

*3:「『Colabo問題』追及で7000万円の支援金を集めた男性が独占告白『これはネット界におけるウクライナVSロシアの戦争です』」3ページ目。

*4:ブログアップ時点で未確認だから。

*5:コトバンク「セクシャル・ハラスメント」をご一読。

https://kotobank.jp/word/%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-547561

*6:ブログアップ時点で、太田や仁藤の犯罪が認定されたという事実がないので。

*7:以下においても一部を引用するにとどめる。

*8:「『Colabo問題』追及で7000万円の支援金を集めた男性が独占告白『これはネット界におけるウクライナVSロシアの戦争です』」2ページ目。

韓国で キリスト教が 多いわけ

 角川新書から『韓国語楽習法 私のハングル修行40年』(2022年)を出している黒田勝弘*1へのインタビューが、BookBang(ブックバン)というサイトに掲載されている。タイトルは、「韓国での統一教会はどんな存在? 問題になったことはないの? 韓国在住40年の黒田さんに聞いてみた」。

www.bookbang.jp

 

 まず、読者にとって一番大事なところを。

――そもそも韓国でキリスト教徒が多いのはなぜですか。

黒田:一般的にいえば背景として、

 ①韓国には伝統的に「ハヌニム(天の神)」という絶対神一神教)が存在するという考え方があった(ハヌニムは国歌にも登場する)
 ②日本統治時代に教会が韓国人を保護した
 ③解放後、とくに朝鮮戦争の後、米国のキリスト教会が物心面で人びとを救援した
 ④急速な産業化、都市化による故郷喪失者の心の拠り所になった

 などが挙げられます

とのこと。特に②が大事である。なぜなら、②については、Min Jin Lee『パチンコ』(邦訳は文藝春秋、2020。上下2巻)にも書かれているからである。主人公のキム・ソンジャは牧師のパク・イサクとともに大阪で新たな生活を始めるが、その場面において、当時の大日本帝国下のキリスト教の境界がどのような役割をしたかが書いてあるので、それを読めば、黒田説が正しいことがわかると思う。

 

 それからすると、肝心なインタビューの大半は重要度が低い。なぜ韓国では統一教会*2が問題にならないのか。それは統一教会がマイナーだから、ということだからである。

 

 また、有害なところもある。以下引用する。

――統一教会が韓国系ということで日本社会ではあらためて反韓嫌韓感情が刺激されています

これ、あったらまずいだろ。オウム真理教サリンを撒いたら反日感情でも悪くなるのかい?

 

「純粋で思い込みが激しい」という韓国人の気質に合ったからという説もありますね

もまずい。人それぞれだろう。「思いこみが激しい」を普通は肯定的評価としない。そういうものを民族性ゆえと言うのは大変危険で、ナチズムにつながりかねない。

 

――韓国では異端視されたマイナーな統一教会が、日本で多くの信者を集め、莫大な資金を獲得できたのはなぜだと思いますか。

黒田:(略)韓国がらみであえて日本的な背景を考えれば、日韓の歴史にかかわる贖罪(しょくざい)意識があったと思います。
 昔、韓国を併合し支配したことに対する「すみません」という意識ですが、戦後日本では教育やメディア、大学など知識人世界ではこれが広範囲に存在しました。今でも慰安婦問題やユネスコ歴史遺産問題などをめぐって、日本では韓国の立場を支持し支援する運動が結構あるじゃないですか。統一教会はこうした日本人の対韓贖罪意識を、つまり原罪意識としてうまく利用し、大学での原理研究会などを通じて真面目(?)な若者を引き込んだように思います。
 以下は余談になりますが、したがって日本社会では左翼・リベラル系と反共の統一教会系が対韓贖罪意識では共通していて、日本社会を悩ませているということですね

とは何かよくわからない。筆者はそもそも統一教会の勧誘を受けたことがないのでわからないが*3、韓国への贖罪意識で勧誘されるものなのだろうか。現時点では暫定版だが(修正の可能性あり)、やや日刊カルト新聞*4のサイトの検索窓に「統一教会 勧誘」と打ち込んだ結果は、

http://dailycult.blogspot.com/search?q=%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%95%99%E4%BC%9A%E3%80%80%E5%8B%A7%E8%AA%98 である。黒田の言うような「日本人の対韓贖罪意識を、つまり原罪意識としてうまく利用し、大学での原理研究会などを通じて真面目(?)な若者を引き込んだ」について、検索結果の1ページ目の記事からは発見できなかった。「日本社会では左翼・リベラル系と反共の統一教会系が対韓贖罪意識では共通していて、日本社会を悩ませている」もよくわからない。「対韓贖罪意識」の何が悪いのかがさっぱりわからない。他者の民族自決権を侵害したわけだから当然の意識ではないだろうか。

 

 ただ、一方、

黒田:韓国人にとっても本当は大いに気になることなんですが、それゆえに韓国メディアは伝えることを遠慮しているように見えますね。
 理由は二つあって、一つは今回、統一教会非難というのはいわば韓国が批判、非難されているようなものですから、そんなイヤな話は知りたくない、伝えたくないという拒否感。もう一つは(略)。
 同じ韓国モノでもドラマやKポップの日本での人気ぶりはしょっちゅう大きく伝えられ、みんな気分がいいのですが、統一教会関連はいささか迷惑という感じでしょうかね

というのは、似たようなことはどこでもあろうが、困ったことだと思う。この部分は黒田説が正しいと思う。

*1:本稿も文中敬称略。ただし引用部分は除く。

*2:現在は世界統一平和家庭連合。かつては世界基督教統一神霊協会だったので、「統一教会」と言われていた(キリスト教だから「教会」だと思われる)。以下の記述は「統一教会」で統一する。

*3:名乗らないので勧誘するわけだからわかるわけがないが。

*4:詳細は

http://dailycult.blogspot.com/p/blog-page.html

 から。鈴木エイトは『自民党統一教会汚染』(小学館、2022)の著者である。

年寄りが 置いていかれる 紅白か

1. 2022年12月31日に、第73回NHK紅白歌合戦が無事行われた。世帯視聴率は、歴代ワースト第2位の35.3%だった*1ので、ダメ出しの記事が目立つ。しかし、今どき世帯視聴率が35%の番組なんてそうないと思うけど。それに加えて、本エントリーで取り上げる2つの記事は、ともにお年寄り(高齢者)を置き去りにしていないだろうか、という問題意識を持っている。それらを引用しつつ検討する。

 

2.まずは、Yahoo!個人「全歌手の集客力に見る『紅白』の次…セカオワ氷川きよし桑田佳祐ら◎、グループ・K-POP・演歌が×」(鈴木裕司。2023年1月8日4時46分)を検討する。

news.yahoo.co.jp

 

 まず、「流出率」が、「曲の魅了する力 ランキング」と言えるかはわからないだろう。鈴木によると、「T層(男女13~19歳)はわかり易い。/家の手伝いをする若者は少ないようで、ほぼ一貫して右肩上りだった。テレビを見続けた人が大半だったのである」はその通りだとしても、生理現象や手伝いと言った事情はあるだろう*2

 

 鈴木によると、「ワースト10の3組は演歌だった」という。そして「逆に演歌では、高齢者の支持を一定程度得られても、主婦や若者がそれ以上に離反した」のだという。そして「今回の演出陣は、視聴者層拡大を狙い、若者受けやネット上での人気を優先し過ぎた」という。どっちやねん!とツッコミを入れたくなった。

 

 蛇足だが、K-POPファンの筆者が気になったのは、「韓国の女性グループが3組いたが、うち2組は良くなかった。/彼女らの多くがミニスカートかショートパンツで、大半がブーツだった。しかも色使いまで似ており、“かぶり過ぎ”で誰が誰だかわからないと感じた視聴者が少なくなかったのである」とのことだが、日本の視聴者って目や耳が悪いのだろうか?

 

3.次は、日刊ゲンダイデジタル「桧山珠美 あれもこれも言わせて 年配視聴者の「紅白歌合戦」離れは今後確実に進む…大先輩を雑に扱ったNHKにダメ出し!」(2023年1月8日6時公開。同11時37分更新)を検討する。

www.nikkan-gendai.com

 

 加山雄三に関する部分は筆者も賛成。年を取るとどうしてもキーが低くなるが、低音が出せるかというとそうではない。低音を聴かせるのは、筆者の経験でも大変で*3、聴いていて正直残念であった。

 

 桧山の危機感は、「毎度のことながら、演歌をレクリエーションにするのも不愉快だ」(3ページ)のところか。演歌=お年寄りが聴く、は筆者の偏見だが、「今回で懲りて、お年寄りの『紅白』離れは確実に進むに違いない」ということの一因になるかもしれない。

 

 「K-POPやらジャニーズやらは、何の歌詞かもよくわからないし、歌よりもダンス重視でいっそ、紅白“ダンス”合戦にした方がいいのでは」(同)というのも、高齢者の紅白離れを助長するかもしれないが、歌詞は一応字幕に出ているので、それをチェックしてもらえれば。それにしても、鈴木といい桧山といい、K-POPに関して厳しいですな。日本の曲離れしているノリの良さについていけていないのかしら。

 

4.筆者が勝手に取り上げた2つの文章に共通するのは、お年寄りを無視してはいけないという問題意識と、ダンスミュージックに対する酷評である。しかしK-POPに関してはbillboardJAPAN Hot100年間チャート(

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100_year&year=2022

)、ジャニーズや演歌に関してはオリコン年間シングルランキング2022年版(

https://www.oricon.co.jp/rank/js/y/2022/

)をご覧あれ。後者について、演歌・歌謡曲系と筆者が認識しているアーティストがランクインしているのは、第69位・純烈「君を奪い去りたい」、第80位・山内惠介「誰に愛されても」、第83位・氷川きよし「群青の弦」、第91位・氷川きよし甲州路」だけである。オリコンは、いわゆるアイドルが強く、演歌・歌謡曲系はなかなかランクインしなかった。お年寄りが聴いていたとしても演歌・歌謡曲系の枠が広がることはなさそうである。

 

5.最後にオマケ。文春オンラインは、2020年から2022年に、紅白歌合戦についてアンケートを実施していた*4が、2023年は実施していない。筆者は文春オンラインのアンケートに答えていたので、今年もあるとにらんで予定稿をつくった。そのベスト3を記して終わりにする。

 

第3位 緑黄色社会"Mela!"

www.youtube.com

宮城県民であれば、東北放送(TBC)テレビ「直球勝負!イーグルスLIVE」のオープニング曲としておなじみなので、取り上げた。ただ、短すぎる。

 

第2位 LE SSERAFIM "FEARLESS(Japanese ver.)"

www.youtube.com

筆者はK-POPをよく聴くので、先述の鈴木や桧山の文章は我慢ならない。筆者としてはIVE"ELEVEN(Japanese ver.)"と甲乙つけがたかった*5。"FEARLESS(Japanese ver.)"にしたのは、明るく、音量の大きい、筆者が勝手にイメージしている既存のK-POPとちょっと毛色が違ったからである。

 

第1位 SEKAI NO OWARI"Habit"

www.youtube.com

オープニングのギターはどこかで聴いた気がするが、ノリがよく、メッセージ性がありそうな歌詞である。第64回日本レコード大賞受賞曲だが、筆者はTBSテレビの番組を観ていなかった。それもあって新鮮に感じたこともあり、この曲を1位とした。

 

*1:日刊ゲンダイデジタル「桧山珠美 あれもこれも言わせて 年配視聴者の「紅白歌合戦」離れは今後確実に進む…大先輩を雑に扱ったNHKにダメ出し!」

*2:過去の経験で恐縮だが、第69回NHK紅白歌合戦視聴中に、いきものがかりのときに猛烈な腹痛に見舞われ席を外したことがある。ウィキペディア「第69回NHK紅白歌合戦」参照。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC69%E5%9B%9ENHK%E7%B4%85%E7%99%BD%E6%AD%8C%E5%90%88%E6%88%A6

*3:おこがましい書き方だが、歌ったときに自分の歌を録音すれば簡単にわかる。

*4:文春オンラインの検索窓に「紅白 アンケート」を打ち込んだ結果のアドレスを示すので、各自で読んでください。

https://bunshun.jp/search?fulltext=%E7%B4%85%E7%99%BD%E3%80%80%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88&page=1

*5:TWICEは心なしか音が小さく感じたから選外。

音のいい K-POPチャンネル 紹介

 今日のエントリーは、もう既にReal Soundの方で、「生演奏パフォーマンスの『it’s Live』、ダンス特化の『STUDIO CHOOM』…ニッチな視点から人気を得たK-POPチャンネル」(momotoxic。2022年2月19日18時)

realsound.jp

として書かれているが、筆者なりの観点を出して書いてみる。

 

 筆者はK-POPファンでよく聴くが、当ブログでは3YE(サード・アイ)をよく取り上げていると自負している*1。その3YEが、事務所が同じB.I.Gとコラボレーションして、777(Triple Seven)として"PRESENTE"という曲を発表した。まずはミュージックビデオのリンクを貼る。

www.youtube.com

 

 そして、何かの気まぐれで*2、今回紹介する"it's LIVE"というサイトのバージョンを見つけた。今度は"PRESENTE"の"it's LIVE"バージョンのリンクを貼るので、聴き比べてください。

www.youtube.com

 

 前述のReal Soundの記事にある、

 主に生演奏バンドでのパフォーマンスを披露する「it’s Live」は、高解像度のサウンドと出演者の美しい歌唱シーンが見どころのYouTubeチャンネルだ。音楽番組でのパフォーマンスと異なるのは、同チャンネルならではのバンドサウンドバージョンを聴くことができること。いわゆる、打ち込み音のイメージが強いK-POPの楽曲をバンド形式で演奏するのは新鮮さが増す

が該当する出来になっているはずである。"PRESENTE"の場合、"it's LIVE"のバージョンのバンドの音が新鮮だったので、それで"it's LIVE"というチャンネルを記憶していたので、Real Soundの記事を見てなるほどと思い、このエントリーにつながった。ただ、"PRESENTE"に限って言えば、"it's LIVE"のバージョンは、ちょっとボーカルが弱いんだよなぁ。

 

 閑話休題。"it's LIVE"のYouTubeチャンネルは以下からアクセス。

www.youtube.com

 K-POPに興味があれば、かなり楽しめるチャンネルだろう。筆者もいくつかアクセスし、現時点で*3いいと思ったのをもう1つ挙げて終わりにする。

 

 それは、"[4K] VIVIZ - "LOVEADE" & “BOP BOP!” & “Red Sun!” Band LIVE Concert [it's Live]"である。

 

 その前に、まずはVIVIZの"BOP BOP!"のミュージックビデオを。

www.youtube.com

 

 そしておまちかね、"[4K] VIVIZ - "LOVEADE" & “BOP BOP!” & “Red Sun!” Band LIVE Concert [it's Live]"である。

www.youtube.com

 

 筆者はVIVIZの歌は、"BOP BOP!"しか知らないので、それしか聴いていないが(54分13秒から)、ミュージックビデオのバージョンと別の味わいがあり、マイクを持っているからか、ボーカルの音もちゃんと入っており、素晴らしかった。

 

 ミュージックビデオとはまた違った、バンドが入ったバージョンも違った味わいがあり、ボーカルも楽しめるので、K-POPを聴く人であれば、"it's LIVE"はチェックして損はないだろう。

 

*1:当ブログの検索窓で「3YE」を検索した結果は、

https://kiyotaka-since1974.hatenablog.com/search?q=3YE

*2:実は、どのようにして"it's LIVE"というYouTubeチャンネルを知ったのか、覚えていない。

*3:すべてを視聴したわけではないから。